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2006年度札幌圏労働安定行政に関する要請書

2006年4月14日発

2006年4月14日

連合石狩地協 発第29号

札幌地区連合 発第20号

札幌公共職業安定所

所 長  菅 原    司    様

札幌東公共職業安定所

所 長  富 木  輝 隆    様

札幌北公共職業安定所

所 長  須 藤  敏 博    様

連合北海道石狩地域協議会

会 長 山 本 廣 和


連合北海道札幌地区連合会

会 長 山 本 廣 和

2006年度札幌圏労働安定行政に関する要請書

日夜、各種事業団体及び個別事業者に対する指導・啓発を通じ、札幌圏労働者の生活と雇用安定に向けご尽力されていることに対して心より敬意を表します。

また、常日頃より、私ども連合北海道石狩地域協議会並びに連合北海道札幌地区連合会の取り組みに対して深いご理解を賜りますことについて心より御礼を申しあげます。

さて、中央の経済回復に対する評価が高まる中で、北海道をはじめとする地方と中央の格差はより一層の広がりを見せています。この格差は、企業間・個人間の経済的格差に止まらず、労働に関する価値観や人間そのものに対する価値観にまで言及する風潮を生み、私どもとしましては健全な地域社会の形成に対する大きな障害であると考えております。

この危機的状況の中、国政レベルでは、国家公務員の人員削減・公務員給与の削減前提の見直しや新たな労働契約に関する法制定に着手しています。これらの内容について逐次吟味を重ねる場合、将来に向けた安全・安心・豊かさについては、無縁の内容であり、現行の格差を更に助長し、不安定な地域社会の形成に向かうとしか考えられません。当然、労働自身にとっても不合理で納得し難い社会であります。

このような状況は是非とも打開すべきであるという点については、官民を問わず多くの方々が一致するものと考えます。私どもが日夜、相談を受け付ける「さっぽろ労働相談センター」には、公務員や民間に属する労働者、更には事業者からの相談も寄せられることから、悩む姿、解決を求める姿には共通の思いを感じます。

私どもは、地域の当事者多くが現状の問題について共通認識を形成し、解決に向けて議論を重ねることが現状打開の良策と考えます。以上の観点から、私ども連合北海道石狩地域協議会並びに連合北海道札幌地区連合会は、日頃の取り組みの中に於いて、対応方を痛切に願う事項を下記の通り列挙いたしました。貴署に於かれましては種々ご賢察の上、早急に特段の措置を講ぜられますよう強く要請する次第であります。

T−派遣労働に関する事項

1、違法、虚偽を内容とする求人行為の排除

(1)派遣労働者に対する派遣先事業所への直接雇用義務が生ずる以下のケースについて、当該派遣労働者からの申し出に則り適切な指導勧告を事業者へなされるよう求めます。

  1.政令26業務であっても複合する業務により派遣受入期間に関する制限を超えた場合

  2.派遣受入期間に関する制限を超えた場合

(2)本指導勧告に対して、速やかな是正を図らない事業者については、事業名の公表及び求人票の受付について留保する等の措置をされたい。

2、介護業務など無資格労働者の派遣への厳正な対応

 介護施設、福祉施設等への労働者派遣に際しては、当該業務に必要な資格の保有について確認し派遣先へ明示する旨、派遣元へ厳正に指導されたい。

3、リストラ・解雇後のポストへの派遣の排除

 「常用代替防止」という労働者派遣制度の大原則に反する、リストラ・解雇後のポストへの派遣排除につき、派遣先及び派遣元へ強力に指導されたい。

4、偽装請負の撲滅と偽装請負で働く労働者の救済

 「派遣」名目の請負契約の下で働く労働者があらゆる業種に増加し、多くの苦情相談が寄られています。業種については製造業、建設業及びソフトウエア開発に多く集中し、相談については長時間労働と時間外手当未払いや労災隠し等が多く挙げられます。

 上庁等との情報につき綿密な疎通を行ない、改善に向けた施策を構築されるよう求めます。

5、「事前面接」の撲滅

 「打ち合わせ」、「職場訪問・見学」、及び「業務内容の向き不向きの確認」などを理由とした実質的事前面接が名称を問わず横行しています。派遣先、派遣元への厳正な指導を求めます。

U−求人情報に関する事項

1、違法、虚偽を内容とする求人行為の排除

 社会保険、労働保険の加入義務について求人票に於いても履行されていない事が明白な求人や最低賃金を下回る時間給提示の求人について苦情相談が寄せられています。

 また、求人票の記載内容と実際の労働条件が異なる旨の相談も依然として多く寄せられています。取分け、若年労働者を対象とした求人募集に多く生じております。

 当該事業主に対して厳正に対処し、適切な処置を行なうと共に、労働者に不利益が生ずることのないよう配慮されるよう求めます。

2、労働争議中の求人の排除

貴所で受け付ける求人につき、労働争議の有無について確認し労働争議中にあっては、当面不受理の扱いとされたい。

3、年齢性別等求人広告への規制

求人票に掲載する募集時の年齢及び性別につき、撤廃する旨の指導をなされたい。

4、職業紹介事業者への対応

職業紹介事業者が行なう、採用雇用管理や労務管理について厳正な取り締まりを求めます。

V−雇用保険及び離職に関する事項

1、恒常的時間外労働に従事する短時間雇用契約労働者への雇用保険適用について

 短時間雇用契約労働者につき、週の所定労働時間が20時間未満の雇用契約あっても、恒常的な時間外労働に従事し、週の実労働時間が20時間を超える場合にあっては、雇用保険の加入とすべく、事業主に周知し、申請労働者については加入の手続を勧められたい。

2、派遣及び偽装請負労働者の雇用保険適用

 派遣及び偽装請負労働者の雇用保険につき、適用条件を満たす就労期間が契約上明白な場合は就労当初から適用申請を行なうよう事業者に指導されたい。

3、派遣労働者の「離職票」の取り扱いについて

(1) 離職票の発行について「1ヶ月待機」については、当該派遣労働者の意向を尊重した取り扱いとされたい。

(2) 離職した派遣労働者が希望する場合には、すみやかに離職票を発行するよう指導されたい。

(3) 事業主都合の期間満了について「自己都合」の記載については、当該派遣労働者の事情を十分に斟酌した取り扱いとされたい。

4、「離職票」の取り扱いについての特段の要請について

(1) 障害者及び高齢者等、その採用と雇用延長などが企業の助成金対象となる者の離職につき離職票の退職事由及び本人の意見などを十分調査し、離職者に不利益の生じないよう調査されたい

(2) 離職票の離職事由についての本人異議申し立てに対する対応につき、離職者に不利益の生ぜぬ取り扱いをされたい。

W−高齢者雇用安定法の運用

1、促進パンフ「定年制がある事業主の皆様へ」と法の趣旨の齟齬について

 高年齢者雇用確保措置(継続雇用制度について)の頁に記載される(1)継続雇用制度及び(2) 雇用条件の項については、変更解約告知を可能とするものと理解される危険があります。事業者及び労働者に対する十分な説明と周知を求めます。

2、人選基準の取り扱いについて

 2013年までの段階的定年年齢の引き上げ措置の中では、不法行為又は事業者の恣意的取り扱いに基づく人選がなされぬよう、十分な周知と説明をなされたい。

X−就職困難者への対策

 所謂「社会的引きこもり者」の就労先確保と雇用安定に向け、基礎自治体、関係機関対策及び地域労働者との共通認識を形成し、実効ある取り組みを図られたい。

Y−緊急要請

1、人員配置について

 労働安定行政の地域に於ける重要性、取り分けて、札幌圏に配置される各所の役割について十分な説明を上庁に上申するなどし、現行人員を補充する適正な人員を確保するよう強く求めます。

2、季節労働者の雇用対策について

 北海道季節労働者雇用対策協議会の第一次報告において確認された、「(1)冬期失業がなくなるまでの対策として季節労働者への訓練などを支援する、新制度の創設」及び「(2)冬期失業解消の根本課題である、事業の平準化促進」等の方針の確実な実現について、厚生労働省及び北海道労働局へ強く要請されたい。


以 上