2007年2月 労働相談の状況について
「年度替わり見越し労働者への攻勢はじまる」
1. 労働相談の概況について
(1) 相談者数、相談項目数について
参照資料-1 「2007年1月 月別労働相談処理状況」
参照資料-2 「07年2月相談者数(雇用形態・男女別、業種別)、処理状況」
参照資料-3 「2006年業種別相談者数、月別集計」
1) 相談者数は昨年秋以降増加傾向をたどり、例年は2月の相談者数が1月を上回っていましたが今年は相談者69人、 相談項目数108件、一人当たり相談項目数1.57となり、いずれも前月およぴ前年同月より減少しました。
(表1) 【相談者散・相談項目数・一人当り相談項目数】
件数(人) | 相談項目数 | 一人当たり相談項目件数 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
今年 | 前年 | 今年 | 前年 | 今年 | 前年 | |
2月 | 69人 | 99人 | 108件 | 175件 | 1.54 | 1.77 |
1月 | 73人 | 62人 | 154件 | 114件 | 2.11 | 1.84 |
2) 相談者の減少はパート女性8人、社員男性7人、契約社員同4人などが大きかった反面、女性は社員、契約社員などで増加し、 合計では女性40人、(58.0%)、男性29人(42.0%)で男性が12人減少し、女性が8人増加しました。
雇用形態別相談者数は、社員と期限付雇用(契約、パートタイマー、臨時、嘱託、季節、派遣)が共に32人、不明その他が5人で、 期限付雇用の78%をバートと契約社員が占めています。
3) 業種別では、16業種に平均4.3人の相談者が分布し、「その他サービス業」「卸・小売業・飲食店」では2桁となりましたが、 前月に比べて前者では男性が減少、女性が増加し、後者では男女とも減少しました。 この他「陸運・倉庫業」では社員男性を中心に70%余減少し、「労働者派遣業」「医療福祉・医療品業」「金融保険・不動産業」「ピル管理業」では女性を中心に1.7倍〜2.5倍増加しました。 また「教育・学校」の1月以降の相談者が例年に比べて急増しています。
(表2) 【主な雇用形態・業種別 対前月相談者増減】
社員 | パート | 契約 | 派遣 | 他形態 | 増減数合計 | 相談合計 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男 | 女 | 男 | 女 | 男 | 女 | 男 | 女 | 男 | 女 | 男性 | 女性 | 計 | ||
その他サービス業 | -2 | +2 | 0 | 0 | 0 | +1 | -2 | +3 | +1 | 12 | ||||
卸・小売業・飲食店 | -1 | +1 | -3 | -2 | +1 | -1 | -2 | -3 | -5 | 10 | ||||
医療福祉・医薬品業 | 0 | +2 | -2 | +3 | 0 | +3 | +3 | 6 | ||||||
労働者派遣業 | +1 | -1 | +3 | 0 | +3 | +3 | 5 | |||||||
金融保険・不動産業 | +1 | +1 | +1 | +1 | +2 | 5 | ||||||||
ビル管理業 | -1 | +1 | +2 | +1 | -1 | -1 | +3 | +2 | 5 | |||||
教育・学校 | 0 | +1 | -1 | -1 | +1 | 0 | 4 | |||||||
その他9業種 | -4 | 0 | -2 | -5 | -2 | 0 | +1 | +2 | -7 | -3 | -10 | 22 | ||
総 計 | -7 | +6 | -1 | -8 | -4 | +5 | -1 | +3 | +1 | +2 | -12 | +8 | -4 | 69 |
(2) 相談項目の分布について
参照資料-4 「2007年2月労働相談(男女雇用形態別・相談内容別)」
参照資料-5 「2007年2月労働相談(業種別・相談内容別)」
参照資料-6 「2007年雇用形態別相談者数・相談件数月別統計」
参照資料-7 「2007年業種別相談者数・相談件数月別統計」
1) 男女別相談件数は女性68件(63.0%)、男性40件(37.0%)で、前月に比べて女性が5件、男性が41件減少しました。 一人当り項目数は女性1.70、男性1.38で、前月と比ぺて男女とも0.6件減少しましたが、社員以外の男性では0.7件減少しています。
雇用形態別相談件数は社員48件、期限付雇用55件、不明その他5件で、前月に比べて社員で24件、期限付雇用で27件減少し、 一人当り項目数は共に0.6件余減少しました。
(表3) 【雇用形態別・男女別相談項目数分布】
社員 | 期限付雇用(非正規) | その他 | 総 計 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
契約 | パート | ||||||||||||
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男 | 女 | 男 | 女 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 計 | |
2月 | 31 | 17 | 5 | 50 | 1 | 22 | 1 | 18 | 4 | 1 | 40 | 68 | 108 |
1月 | 57 | 15 | 24 | 58 | 11 | 17 | 2 | 38 | 0 | 0 | 81 | 73 | 154 |
前年2月 | 53 | 45 | 20 | 48 | 10 | 6 | 5 | 34 | 4 | 5 | 77 | 98 | 175 |
2) 種別では、相談件数が2桁の「その他サービス業」「卸・小売業、飲食店」「金融・保険、不動産業」「医療福祉・医薬品業」が全件数の約52%を占めましたが、 「卸・小売業、飲食店」が前月の約1/3になり、「交通業」「陸運・倉庫業」「製造業」「食品加工業」でも大きく減少しました。 他方、「金融・保険、不動産業」「医療福祉・医療品業」「労働派遣業」は2.0〜2.5倍増加し、「教育・学校」は減少しましたが、 2ヶ月の合計件数が前年の年間合計数を上回りました。
(表4) 【主な雇用形態と業種の相談件数】
その他 サービス業 | 医療福祉 ・医薬品業 | 卸・小売業 ・飲食店 | 金融保険 ・不動産業 | 教育・学校 | 業種別 総計 |
|
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2 月 | 22 | 12 | 12 | 10 | 7 | 108 |
1 月 | 22 | 6 | 37 | 4 | 10 | 154 |
1〜2月計 | 44 | 18 | 49 | 14 | 17 | 262 |
前年合計 | 207 | 241 | 311 | 23 | 13 | 1722 |
(4) 相談内容について (参照資料4、資料5)
参照資料-8「2007年相談項目別相談件数月別集計
1) 108件の相談件数21項目に分布し、定番の上位相談項目である「解雇・雇止め・退職」「就業規則・雇用契約」「経営問題・労務管理」の3項目と「残業代未払い」で2桁の相談がありましたが件数は前月より減少しました。 構成比では横ばいの「就業規則・雇用契約」を除く3項目はいずれも1ポイント以上上回りました。 また、「賃金未払い・遅配」は前月の約1/4に減り、「差別・嫌がらせ・セクハラ」は前月から減少が続いています。 「組合加入・結成」「退職金」「その他」はやや増加しました。
2) 主な雇用形態差別では、社員の男性は「残業代未払」「解雇・雇止め・退職」「労働組合加入・結成」の相談か多く、定番の上位相談項目「経営問題・労務管理」「賃金未払い・遅配」はゼロになるなど大きく変動しました。 また、社員、契約社員、パートの女性も「解雇・雇止め・退職」では共通の主要相談項目となりましたが、その他の項目では増減が大きく分かれました。
3) 主な業種別でも上位3項目の相談件数が多数であるものの、「卸・小売業、飲食店」では「残業代未払い」3件以外の9項目の相談数はすぺて1件となるなど、 相談件数が増加した3業種を除く13業種で相談項目数と項目別相談件数が減少しました。
(表5) 【主要雇用形態および業種別の分布状況】
雇用形態 ・業種 | 社員 | 契約 社員 | パート | その他の 雇用形態 | 全相談 項目合計 | その他 サービス | 卸・小売業 ・飲食店 | 医療福祉 ・医薬品業 | 金融保険 ・不動産 | 教育 ・学校 |
||||
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相談項目 | 男性 | 女性 | 女性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 合計 | |||||
解雇・雇止め・退職 | 4 | 3 | 3 | 3 | 2 | 1 | 6 | 10 | 16 | 3 | 1 | 2 | 2 | 2 |
就業規則・雇用契約 | 3 | 1 | 4 | 4 | 2 | 1 | 5 | 10 | 15 | 1 | 1 | 2 | 2 | |
経営問題・労務管理 | 5 | 5 | 1 | 11 | 11 | 2 | 1 | 3 | 2 | 2 | ||||
残業代不払い | 6 | 1 | 3 | 6 | 4 | 10 | 2 | 3 | ||||||
労働保険 | 1 | 3 | 3 | 7 | 7 | 5 | ||||||||
労働組合加入・結成 | 4 | 1 | 1 | 4 | 2 | 6 | 2 | |||||||
労働組合加入・休憩休日 | 2 | 1 | 2 | 2 | 3 | 5 | 1 | 1 | 1 | |||||
その他項目計 | 12 | 5 | 6 | 4 | 5 | 6 | 17 | 21 | 38 | 8 | 5 | 4 | 4 | 1 |
全 合 計 | 31 | 17 | 22 | 18 | 9 | 11 | 40 | 68 | 108 | 22 | 12 | 12 | 10 | 7 |
1月相談件数 | 57 | 15 | 17 | 38 | 11 | 3 | 81 | 75 | 154 | 22 | 37 | 6 | 4 | 10 |
(5) 違法状況について (参照資料-9「2007年月別相談内容別違法件数 集計)
1) 2月の全体相談件数に対する違法率は41.7%で、前月(50.0%に比べて8.3ポイント低下しました。 一方、相談件数が11比較的多い表5の項目(労働組合結成を除く)の合計件数に対する慰違法率は44.2%で、 前月(同48.3%)との差は4.1ポイントに縮小しています。特に大きかったのは「解雇・雇止め・退職」50.0%(前月23.8%)、「労動時間」40.0%(同83.3%)でした。
2. 2月の雇用情勢について
1) 2月の相談者は前月に比べて、社員および契約社員の男性とパートの女性が、「陸運・倉庫業」「卸・小売業、飲食店」を中心に激減しました。 また、社員、契約社員、派遣の女性が「医療福祉・医療品業」「労動者派遣」「金融保険・不動産業」「ピル管理業」などで増加しました。
2) 相談者が激減した2業種では、年末を経過して1月に寄せられた「卸・小売業・飲食店」の「合理化・倒産・企業閉鎖」「解雇・雇止め・退職」の相談とこれに関連する諸問題および「陸運・倉摩業」の賃金引下げや労災保険等の一過性の相談が、 2月は「卸・小売業・飲食店」の「残業代未払い」3件を除き、いずれの相談項目も1件またはゼロ件となり、継続課題としては一段落したように見えます。
3) これとは逆に、相談者か増加した業種を中心に、年度変わりを見越した「雇用契約更新」「解雇・雇止め・退職」「配転・出向・転籍」とこれに関連する項目の相談が増加し、3月、4月に向けて拡大することが予想されます。 中でも「金融保険・不動産業」では、サラ金業の大規模な店舗閉鎖問題が動き出しており、このため「労働組合結成・加入」の取り組みが始まっています。
3. 添付資料
資料−1 「2007年2月 月別労働相談処理状況」 【PDF】
資料−2 「2007年2月相談者数(雇用形態・男女、業種別)、処理状況」 【PDF】
資料−3 「2006年業種別相談者数 月別集計」 【PDF】
資料−4 「2007年2月労働相談(男女雇用形態別・相談内容別)」 【PDF】
資料−5 「2007年2月労働相談(業種別・相談内容別)」 【PDF】
資料−6 「2007年 雇用形態別相談者数・相談件数 月別統計」 【PDF】
資料−7 「2007年 業種別相談者数・相談件数 月別統計」 【PDF】
資料−8 「2007年 相談項目別相談件数 月別集計」 【PDF】
資料−9 「2007年 月別相談内容別違法件数 集計」 【PDF】
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