2007年1月 労働相談の状況について
「第166国会で議論される労働基準法改定(案)・労働契約法(案)では歯が立たない厳しい現況」
1. 労働相談の概況について
(1) 相談件数について 参照資料-1 「2007年1月 月別労働相談処理状況」
相談者数は73人、相談項目数は154件となりました。対昨年比では+11人・+40件となりました。 一人当たりの件数では2.10件となり昨年を0.27ポイント上回っています。
【相談件数・項目数の比較】
項目 | 件数(人) | 相談項目数 | 一人当たり相談項目件数 |
---|---|---|---|
年・月 | |||
2007年1月 | 73人 | 152件 | 2.10件 |
2006年1月 | 62人 | 114件 | 1.83件 |
(2) 雇用形態別相談者数及び件数について 参照資料-2「2007年 雇用形態別 相談者数 月別集計」
「2007年 雇用形態別 相談件数 月別集計」
相談者数73人の内訳は、社員33人、期限付雇用契約者(契約・パートタイマー・臨時・嘱託・季節・派遣)40人となっており、男女比では男性41人・女性32人となっています。 相談件数の内訳では、社員72件、期限付雇用契約者(契約・パートタイマー・臨時・嘱託・季節・派遣)82件となっています。男女比では男性81件、女性73件となっています。 一人当たりの件数では、社員2.18件、期限付雇用契約者(契約・パートタイマー・臨時・嘱託 ・季節・派遣)2.05件となっています。
男女比では男性1.97件、女性2.28件となっています。
【雇用形態別 相談者数】
社員 | 契約 | パート | 臨時 | 嘱託 | 季節 | 派遣 | 不明 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男 | 28 | 5 | 2 | 2 | 1 | 1 | 2 | 0 | 41 |
女 | 5 | 5 | 20 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 32 |
計 | 33 | 10 | 22 | 4 | 1 | 1 | 2 | 0 | 73 |
【雇用形態別・男女別 相談件数(各上段)と一人当たり相談件数(各下段)】
社員 | 契約 | パート | 臨時 | 嘱託 | 季節 | 派遣 | 不明 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男 | 57 | 11 | 2 | 4 | 1 | 2 | 4 | 0 | 81 |
2.03 | 2.20 | 1.00 | 2.00 | 1.00 | 2.00 | 2.00 | 0.00 | 1.97 | |
女 | 15 | 17 | 38 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
3.00 | 3.20 | 1.90 | 1.50 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 2.28 | |
計 | 72 | 28 | 40 | 7 | 1 | 2 | 4 | 0 | 154 |
2.18 | 2.80 | 1.81 | 1.75 | 1.00 | 2.00 | 2.00 | 0.00 | 2.10 |
(3) 業種別相談状況について 参照資料-3「2007年1月 労働相談(業種別・相談内容別)」
業種別相談状況では、「卸・小売業・飲食店」15人(相談件数37件 2.46件/一人)、「その他サービス業」11人(同22件 2.00件/一人)、「陸運・倉庫業」7人(同9件 1.28件/一人)、「教育・学校業」4人(同10件 2.50件/一人)、「交通業」3人(同12件 4.00件/一人)、「建設・設計・重機業」3人(同9件 3.00件/一人)、製造業3人(同8件 2.66件/一人)等の順位となっています。
「卸・小売業・飲食店」、「その他サービス業」が飛び抜けて多い状況となっています。 また、教育・学校業が、人数・件数共に上位に位置されています。
(4) 相談内容について 参照資料-4「2007年1月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別)」
相談内容では、「賃金」29件(内 「残業手当 未払」12件)、「解雇・雇い止め・退職」21件、「就業規則・雇用契約」21件、「労働保険(雇用・労災)」13件、「経営問題・労務管理」13件、「有給休暇」9件、「勤務」8件、「社会保険(健保・年金)」6件、「セクハラ・差別」6件、「派遣」4件となっています。定年問題と退職金及び職業紹介以外、全ての項目に相談が寄せられています。
(5) 相談項目について 参照資料-5「2007年 月別相談内容別違法件数 集計」
73名から寄せられた154件の相談中、違法と判断される項目は77件となっています。 ちょうど50%が違法という状況です。77件の主要な内訳は次の通りです。 賃金、就業規則・雇用契約、勤務派遣については特に違法の比率が高いものとなっています。
【項目別違法件数の上位項目】
項 目 | 違法件数 | 占有率 | 相談件数 |
---|---|---|---|
賃 金 | 24件 (内 残業12件) | 31.2% | 29件 |
就業規則・雇用契約 | 11件 | 14.3% | 21件 |
勤務(労働時間関連) | 7件 | 9.1% | 8件 |
有給休暇 | 6件 | 7.8% | 9件 |
解雇・雇い止め・退職 | 5件 | 6.5% | 21件 |
雇用保険・労災保険 | 5件 | 6.5% | 13件 |
健康保険・年金問題 | 5件 | 6.5% | 6件 |
派遣・人夫貸し | 4件 | 5.2% | 4件 |
2. 1月の雇用情勢について
昨年同月を上回る相談状況は、月の前半に相談が多いことからして、昨年末からの雇用環境の悪化が修復されず、むしろ昨年相談できない市民が一挙に相談窓口に殺到したためと考えられます。
今月の特徴としては、一人当たりの件数が多く、陸運・倉庫と金融・不動産卸及び公務公共サービスを除き全てが「2.00」を超えていることが第一に挙げられます。解雇に関連する賃金未払い、いじめに関する労災・雇用保険の問題など、個々の相談者が緊急に対応すべき課題を2つ以上抱えている状況がうかがわれます。さらに、相談件数上位または違法件数の上位項目に、現在、労働政策審議会等で議論されている派遣や就業規則及び労働時間等の労働基準法改定・労働契約法の関連項目が含まれています。
労働基準法改定・労働契約法の議論の前に、職場や労働相談現場を是非、再検証すべきと考えます。
【 参考資料 】
資料−1 「2007年1月 月別労働相談処理状況」 【PDF】
資料−2 「2007雇用形態別 相談者数 月別集計」「2007雇用形態別 相談件数 月別集計」 【PDF】
資料−3 「2007年1月労働相談(業種別・相談内容別)」 【PDF】
資料−4 「2007年1月労働相談(男女雇用形態別・相談内容別)」 【PDF】
資料−5 「2007年 月別相談内容別違法件数」 【PDF】
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