介護を支えるヘルパーの会 in Sapporo no.4 | |||||||||||||||||
今後の取り組みについて W | |||||||||||||||||
(はじめに)今年で4回目となるこのホームヘルパーの健康診断は、受診者数が昨年を大きく上回り241名となりました。 更に、男性受診者は43名(17.8%)に達しており、女性的職業であるという意識が昨年以上に取り払われて いるのではないかと思います。 受診者数の増に比例し事業所数も増え、20事業所となっています。本来事業所で実施すべき健康診断がなされ ていないことの現れではないかと思います。 今回も、札幌市から「後援」という形で協力を頂き、各区の施設などにパンフレットを配置することが可能と なりました。札幌市担当者の方々のご配慮に心より御礼を申し上げるとともに、パンフレットの配置、作成に ご協力を頂きました、NPO団体、ホームヘルパー及び労働組合の関係者の方々に対して心より御礼を申し上げます。 私たちは、この取り組みを通して得たホームヘルパーの就労実態について、厚生労働省、北海道及び札幌市等に、 具体的な要求項目として具申してきました。その結果、厚生労働省は2004年8月27日に、通達・基発第0827001号 で、ホームヘルパーの労働条件を厚生に確保することを事業主に指導するようにと、各自治体へ発しました。 また、同通達に基づく、パンフレット「訪問介護労働者の法定労働条件の確保のために」を5万部作成し、 各都道府県労働局や労働基準監督署に配置し、ホームヘルパー自身も、労働条件のあるべき姿を確認できるもの となりました。 しかし、残念ながら介護保険制度の運営者・保険者である基礎自治体においては、未だこの国の意向を知る ところ少ないのが実態です。都道府県又は市町村の福祉担当責任者(管理職)の殆どは同パンフレットを手に したことがないとしています。介護保険制度の有益な運用を担保するためにはホームヘルパーの処遇が重要で あるということの認識がない証拠であります。 また、ホームヘルパーの処遇について監督・指導は労働行政の責務とし、保険者としては責務を負わないという 姿勢の現われです。 今、国政の場では、介護保険制度開始5年後の見直しに向けて、様々な議論がなされております。 残念ながら、その議論にホームヘルパーの労働条件に関する事項は一切含まれていないのが実態です。 介護報酬単価の見直しが2003年4月に実施されたおり、ホームヘルパーへの報酬確保・改善が全く議論の対象 とならなかったのと同様です。 しかし、私たちは、諦めずに声を出していかねばなりません。幸い、私たちと同じ取組みをする仲間が除々に 増えております。また、私たちの、纏めたデータを基に厚生労働省へ申入れをする仲間も増えてきました。 利用者の方々からの応援・理解も得られるようなってきました。取り組みが全く無意味であったわけではない 証拠です。 利用者やサービスを提供する事業者、そしてサービス提供の当事者であるホームヘルパー等、関係する人々 全てが、「幸福感」を共有することが求められる制度が介護保険制度です。 私たちは、その実現のために現場・職場で働くホームヘルパー等介護労働者自らが、声を出して現状の矛盾や 不合理性を指摘することが大事であると考えています。私たちは、今後もこの考え方り基づき、様々な取り組み をして参ります。 就業状況に関する考察から1.構成者に関する考察から男性従事者が増えています。昨年の占有率10.4%から17.8%まで増えています。 年齢構成では、若年化の傾向が、昨年以上に進んでおり、30歳代(33.6%)を筆頭に、20歳代(22.8%)で、 過半数以上を占める状況となっています。続いて40歳代(18.3%)50歳代(14.1%)となっています。 経験年数については、1〜2年未満及び2年〜3年未満の伸長が著しく44.4%を占める結果となっています。 5年以上の数値及び1年未満の数値は、昨年と比較しダウンとなっています。 配偶者の有無についての数値は昨年と変化がなく、世帯主・同居者有りの割合が増えています。 20歳〜40歳までの女性で、子どもと同居し世帯主と勤務するホームヘルパーが増えていると考えられます。 また、これまで40歳代以上で勤続年数5年以上のホームヘルパーの退職傾向が現れていると考えられます。 後段の勤務状況と併せて考察した場合、かなりの労働強化となっているものと察します。 2.就業状況に関する考察から雇用形態については、正社員とパートタイマーの二極分化の状況となっていますが、正社員の数が大幅に増 となっています。 労働時間・稼働数については、一日、一週及び一月全ての分類で最短と最長時間の占める割合が減少し、 中間層の占める割合が特化しています。ほぼ、業務が固定化していること、また長時間傾向が定着した もの思われます。 これらの数値から、現在の介護現場では20代から30代の単身者のホームヘルパーが、正社員とパートタイマー の区別なく長時間働き、また一事業所で継続的勤務をしている状況であると考えられます。ただ、高齢者の減員 が増えていることから、労働密度は濃くなっていると思われます。 従って、低賃金・過密な勤務内容という状況に変化はなく、むしろ「若く」体力が無ければ、継続勤務は 不可能なのではないかと思われる状況です。 3.健康状態に関する考察から特異的健康障害は見当たらないとするものの、手・肘・腕・肩・膝・腰などに痛みを有する者は58.5%と 依然として高数値であり、腰痛、肩通、膝及び首通の部位も変わっていません。 また、痛みを有するホームヘルパーの半数以上が複数部位に痛み(障害)を有する状況も変わっていません。 やはり、労災適用について積極的な姿勢が事業者に見られず、治療に専念できる環境が整備されていない 状況が未だに多く存在するのではないかと思われます。 また、現行の一日の労働時間の長時間化及び労働の過密化傾向からすれば、現在勤務するホームヘルパーへの 関節系障害の増大は十分考えられます。事業主に対する状況周知と労働基準監督署に対する症例報告・蓄積が 必要であり、それと平行して就労環境の整備に向けた、地域的取り組みが求められます。 4.疲労自覚症状に関する考察から今回の調査では、51.8%のホームヘルパーが疲れているとし、ほぼ昨年と同様です(前回54.7%)。 その自覚症状の特徴は、肩がこる、腰が痛い等の「局在する身体異和感」を訴える事に表れています。 精神的疲労よりも身体的疲労が強いという実状にあるという事、しかも半数近くが該当することについて、 地域の自治体は、しっかりと受け止めるべきです。 賃金等の労働諸条件の実態と併せて考えれば、これまでの地域介護福祉はホームヘルパーの報償的労働により 支えられてきたと言わざるを得ないものです。 私たちは、地域の自治体に、これらの実情を提示し、地域介護福祉の充実に向けた具体的施策の確立を求める 必要があります。地域のホームヘルパーの「疲れた」という言葉に耳を傾けさせる取り組みが必要です。 5.ストレスに関する考察から身体的疲労度合と比べて、ストレスの度合が極めて高いという特徴に変化はありません。 前項に記載した勤務実態等から身体的な負荷は相当な程度である事が予想されますが、それ以上にストレスの 度合が高いという状況が、何故生ずるのか。 自分達の意見・話しを聞いてくれるところがない」、しかし「苦情などを申出る機関は必要である」、 そして現状は「申出るところがないので、同僚・家族と話しをする」「1人で我慢する」という状態である事に 原因があると思われます。これまでと同一の状況であります。 5.今後の具体的な取り組み
以 上 介護を支えるホームヘルパーの健康診断in Sapporo no.4 のまとめ
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2005年2月28日発行 | |
発行責任者 | 介護を支えるヘルパーの会 in Sapporo 会長 島崎 理恵 |
編集スタッフ | 島崎 理恵 工藤 仁美 山本 功 |
協 力 |
北海道健診センタークリニック 全労済道央地区本部 連合北海道札幌地区連合会 さっぽろ労働相談センター NPO法人北海道青少年自立サポートセンター チーム リッツ・ジー プロスタッフユニオン |
後 援 | 社団法人 北海道勤労者安全衛生センター 札 幌 市 |
介護を支えるヘルパーの会 in Sapporo 事務局 | |
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