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2006年 年間労働相談の状況について

まえがき

2006年の相談者および相談項目数は過去最多となり、規制緩和で激化する企業競争と福祉関係法改定の影響が顕著に表れました。 労働条件の不利益変更、労働強化、退職強要、苛めの横行など、陰湿な形での労務管理が拡大しています。 減少していた「解雇・雇止め・退職」の相談が社員を中心に再び増加しました。 最長の景気持続が喧伝される中、北海道経済は浮揚しきれず沈下していることが窺われます。

1.労働相談の概況について

(1)相談受付・処理状況 (参照 資料1「2006年1〜12月 月別労働相談処理状況」)

1) 2006年の相談者は1,022人(全国一斉集中相談分を除く)で、相談者の92%は電話を利用し、面談は7.2%、メールやFAXは1%未満でした。 電話はフリーダイヤル77%、パート110番16.7%で、6.3%は札幌地区連合などの電話が利用されています。

2) 相談のうち前年繰越3件を含め38件の案件解決に関与し、26件が終結、5件が翌年繰越しとなりました。 その他は中断や結果未確認で終結しています。

26件の終結の態様は、団体交渉で解決15件、裁判所の和解1件、労基署申告等による解決5件、自主対応など5件で、 この過程で5つの労働組合が結成され、22人がパートユニオンに加入しました。

このほか90人の相談者に相談内容に応じて監督官庁や関係労働組合、弁護士などを紹介しました。

(2)相談者数、相談項目数について

参照資料-2「06年1〜12月 相談者数(雇用形態・男女別・業種別)、処理内容」

参照資料-3「06年1〜12月 相談者数(雇用形態・男女別・業種別)増減」

参照資料-4「2006年 雇用形態別相談者・相談項目数 年次統計」

参照資料-6「2006年 業種別相談者・相談項目数 年次統計」

1) 相談者1,022人の相談(項目)件数は1.722件で、前年より相談者数が32人、相談(項目)件数が82件増加しました。(第1表)

(第1表)   【相談者数・相談項目数の推移】

02年03年04年05年06年
相談者数7649518989901,022
相談項目数1,2491,5191,4301,6401,722

2) 月別の相談者傾向は平年(03〜05年平均)並みですが、増減の差は拡大しました。(第2表)

(第2表)   【月別相談者の増減比較】

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
06年6299100112751175552679310189
対平年-1+26+16+21-4+35-21-15-11+3+12+15
対前年+1+29+15+20-15+26-21-22-10+6+13-7

3) 男女別の相談者と相談(項目)件数は、女性539人902件、男性483人820件で例年同様に女性が多数を占め、 構成比は平年とくらべて相談者数で0.6ボイント縮小し、相談(項目)件数で0.7ホイント拡大しました。 1人当たり相談(項目)件数は男女平均1.69件で、男性が女性を上回りました。 (第3表)

(第3表)   【相談者数・相談項目数・男女別増減の傾向】   (Pはポイントの略)

談者数(カッコは構成比)相談項目数
男女差1人平均(女・男)
06年1022人539人(52.7%)483人(47.3%)56人(5.4P)1722件1.69件1.67 1.70
対平年946人504人(53.3%)442人(46.7%)62人(6.6P)1530件1.62件1.57 1.67
増減+76人+35人(-0.6%)+41人(+0.6%)+192件+0.7件

(3)雇用形態別相談者の状況について

1) 雇用形態別相談者は平年とくらべて「社員」「非社員(パートタイマー、契約社員、嘱託、臨時・アルバイト、季節、派遣)」で増加し、「不明その他」で減少しました。 「非社員」では主にパートタイマーと契約社員の相談者が増加し、臨時・アルバイトで減少しました。 これにより、全相談者の82.7%が社員、パートタイマー、契約社員の相談者となり、この3雇用形態の相談者増減が、業種別、相談項目別相談者増減の大きな要因となっています。

また、1人当たり相談(項目)件数は社員、パートタイマーで平均を上回りました。(第4表)

(第4表)   【雇用形態別相談者数と構成比の状況】   (Pはポイントの略)

雇用形態社  員社 員 外 雇 用不明その他
全雇用パートタイマー契約社員
相談者構成比相談者構成比相談者構成比相談者構成比相談者構成比
06年461人45.1%470人46.0%289人28.3%95人9.3%91人8.9%
対平年+30人-0.4P+70人+3.6P+48人+2.8P+32人+2.7P−24人-3.2P
(雇用形態別相談項目数と1人当たり相談件数)
項目数815件1.77件789件1.68件505件1.75件145件1.53件118件1.30件

2) 男女別相談者は「社員」の69.0%を男性、「非社員」の73.0%と「不明その他」の58.2%を女性が占め、全女性相談者の74.0%をパートタイマーと社員が、全男性相談者の65.8%を社員が占めました。

(4)雇用形態別相談者の状況について

1) 相談者は「分類不能その他」を含む20業種のうち18業種に分布し、相談者3桁の4業種で60.5%、同2桁の11業種で38.1%、同1桁の3業種で11.4%を占めました。 平年とくらべて特に増加したのは「医療福祉・医薬品業」(48.9%増)と「陸運・倉庫業」(59.2%増)で、「分類不能・その他」は13.9%減少しました。 この3業種は構成比の対平年比較でも大きく変動しました。

(第5表)   【主な業種の相談者と構成比の対平年比較】   (Pはポイントの略)

相談者数、構成比とも増(全8業種の内)相談者数、構成比とも減(全9業種の内)
相談者増数構成比相談者増数構成比
(13)医療福祉・医薬品業134人+44人+3.6P(20)分類不能・その他192人−31人−4.7P
(9)陸運・倉庫業74人+29人+2.5P(7)通信・報道・IT業21人−11人−1.3P
(18)その他サービス業113人+19人+1.1P相談者数増、構成比減 (全1業種)
(19)公務・公共サービス29人+16人+1.5P相談者増数構成比
(14)ビル管理業53人+15人+1.1P(10)卸・小売業・飲食店179人+10人−0.3P

(5)相談者の雇用形態別、業種別増減の状況について

1) 前年との比較でも相談者の増減は前項の3業種で著しく、いずれも社員の増減が大きく影響しています。 また、第5表の「ビル管理業」では1人増にとどまり、「製造業」では社員を中心に18人の減となりました。 対前年1人減となった「その他サービス業」では社員が増、パートが減となり、いずれも2桁の変化でした。(第6表)

(第5表)   【主な業種の相談者と構成比の対平年比較】   (Pはポイントの略)

業種雇用形態社員契約パート臨時派遣不明全形態
相談者数461人95人289人36人31人91人1022人
(13)医療福祉・医薬品業134人+21+9+14+20+8+53
(9)陸 運・倉 庫 業74人+24+4+1-1-1-1+27
(19)公務・公共サービス29人+6+4+3+4-1+17
(10)卸・小売業・飲食店179人-6+2+17-9+1+8+13
(20)分類不能・その他192人-33+3+5-2-1-14+44
(5)製   造  業28人-10-4-2-1-1-18
(7)通信・報道・IT業21人-1-2-7-1-1-12
(18)その他サービス業113人+15+1-110-7-11
全 増 減1022人+24+24+28-16-15-18+32

(注)全形態、全増減の数値には未掲載の雇用形態と業種の増減を含む。

2) 第6表における男女構成比は「医療福祉・医薬品業」の74.6%、「公務・公共サービス業」の58.6%、「卸・小売業・飲食店」の51.4%、「分類不能・その他」の57.3%を女性が占め、 「陸運・倉庫業」の78.4%、「製造業」の67.9%、「通信・報道・IT業」の61.9%、「その他サービス業」の52.2%を男性が占めています。

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