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連合・さっぽろ労働相談センター「パート等労働者の時間給調査」のまとめ

2005年8月1日発

V−今後の時間給労働者の待遇改善について

1.データの精度について

今回よせられた1116通のデータは、10万通を配布した後、約1ヶ月間に集約されたものであります。 配布場所については、市内及び近郊を網羅しており、手にした労働者についても、 ほぼ全職種・全業種にわたっているとえます。

調査分析の1.及び2.で記載したとおりであります。従って、データの精度は極めて高いといえます。

2.時間給労働者の概要について

(1)若年化と全年齢化傾向

若年化の傾向と全ての年齢に分布する傾向がより顕著になっています。前回2002年12月の調査に比べるとより明白であることは、 調査分析の項に記載した通りです。

この傾向が生ずる背景はどこにあるかを考察した場合、やはり1998年からの数年間にこの傾向が、 事業主の採用モードに定着したことにあると考えられます。

当時は、札幌圏の失業率は最悪の状態でしたが、それ以上に有効求人倍率は著しく劣悪な状況にありました。 常用雇用で0.23程度の数値が、パートタイマーだけの数値に限った場合、17.0程度まで跳ね上がる状況が暫く続きました。

この中では、 職場の中高年について大胆なリストラが敢行され代替労働者として若年又は時間給のやや若めの中高年が採り入れられました。

5年以上の時間給者や30歳代〜40歳代以降の時間給者が多く存在するのは、その時点からの傾向を、 そのまま引き継いでいるためといえます。

また、近年は景気回復にあるとはいえ、新卒採用は依然として手控える傾向にあります。

時間給で採用して、暫く働きぶりを検証した後、その時点の上位者数名を正社員として採用するという傾向が多くなっています。 その結果、時間給者の若年化が増大しているといえます。

(2)定着率の低さ

若年者については、正社員としての不採用が決定した場合は、ほぼ退職する傾向にあります。

労働相談の現場には、その際のトラブルについて、時間外労働時間に対する賃金未払いを含め、多く寄せられております。 在職中の職場の無法地帯振りが伺われます。

若年者の定着率の低さについては、事業主の採用と人材育成に対する姿勢や職場環境の形成方法にも、 問題があるのではないかと考えます。

中高年層については、やはり638円〜660円又は700円〜750円のゾーンに多く集中する状況から、 生活形成を考え他の職に就かざるを得ないものと考えられます。

ただ、1998年からの数年間に、比較的高い評価を受けている時間給者については、1割程度存在していますが、 そのまま継続して勤務する傾向にあります。

(3)評価の不均等性

勤続が10年を超える時間給者については、職場又は事業所内で教育・指導者的役割を担う傾向にあります。 自由記入欄に記載されている、上司・店長への業務指導等は典型例といえます。

また、事務職を考察した場合、事業所内事務を10年以上担当するとなれば、当事者の存在なしには、 事業の運営が担保されないことも考えられます。自由記入欄に記載されている内容に、勤続年数が長いものの、 時間給据え置きであることの苦痛が寄せられていることを考察すれば、評価に均等処遇の視点が欠けているといえます。

3.今後の改善に向けて

(1)時間給賃金における均等処遇の実現

時間給=低金額との概念が定着しています。

自由記入欄に見られる通り、また勤続年数の調査項目にもあるように、働きぶりについて評価され、 存在として必要とされる状況が必ず生じています。その様な状況にあっても、時間給の処遇が低額処遇とされる実態にあります。 能力・働きぶりについて評価し、勤続年数という実績を認めた場合、 同種・同様の正社員と均等の処遇を事業主・企業が履行すべきです。評価を単に重宝な存在としてだけの扱いにするのではなく、 正社員との均等な処遇を以て応えることが、適法であり求められます。

(2)時間給賃金における最低限の生活権確保の実現

時間給で勤務する労働者とはいえ、当然に憲法に保障される権利は担保されるべきです。

1日8時間、1週40時間、1年間2085時間を勤務した場合、当然生活の権利が補償されるべきです。 その観点を以てすれば、現行の北海道の最低賃金は低すぎます。

通年労働に換算しMAX労働時間(2085時間)を遂行した場合に、月の給与が生活保護制度で支給される金額を下回るというのは、 むしろ事業主が義務を怠ったと指摘できます。

審議会では経営団体より、不況の度合いや産業の衰退振り、また天候などの自然減少による被害等、 経営を取り巻く悪環境について執拗に解説がなされます。 これらに対抗するために時間給引き上げ抑制が直接的に効果はないのは明白です。 例え、時間給を引き下げたところで天候が意のままになるものではなく、景気回復が上向くとは考えられません。 厳しい状況であるから、時間給を引き上げないというのであれば、それは内輪の経営論議にすぎません。

地域最低賃金は法律に基づき施行される制度です。制度である以上、当然、 もたらされる姿についてシミュレートしなければなりません。審議会の各委員がその観点たつかどうかが一番の課題であるといえます。

今、638円の時間給者が独立で生計を営もうとした場合、国民の義務を履行し、少子化に歯止めをかけるべく家族をもち、 そして生きていけるかを考えた場合、不可能であることは明らかです。 しかし、時間給者が年々増加し、あらゆる世代・性別に広がっています。

早急な対策が必要であります。

私たちは、法律・制度で定められる地域最低賃金は、生活の権利を守るための金額であるべきだと考えています。 そして、その実現のための施策あらゆる角度から検討をしています。

ただ、緊急的措置として当面の時間給は750円以上に設定されるべきである主張します。

(3)「雇用」における時間給労働者の存在について

現行の時間給者が、本当に時間給者であるべきかというと、そうではないと思います。

現在、定着している時間給採用モードは前述のとおり、1998年時点の事業主の緊急避難的措置をそのまま継続しているものといえます。

その後、業績が回復し市内景気の回復が良であると認められれば、政策的誘導を以てしても、 時間給雇用について制限をする必要があると考えます。 それは、地域・世間のモラルを通常水準で保つために行政が担う義務であると考えます。

また事業所・企業は、業績の回復を事業所・企業単独の努力の結果であると錯誤することなく、 地域の一員としての事業所・企業であることを認識し、 同じく地域を構成する従業員・労働者・市民に適正に還元することを義務として認識する必要があります。

その観点に立てば、時間給者の存在も当然に制限されるものと考えます。

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