2005年11月 労働相談の状況について
「雇用形態を問わない、労働条件の不公正な切り下げ進行。問われる経営者の資質」
1.労働相談の概況について
(1)相談者数について 参照資料−1 「2005年11月現在 月別労働相談処理状況」
相談者数は88人、相談項目数は150件となりました。対前年比では相談者数が2人の減、相談項目数では6件の増となっており、 ほぼ前年並み状況となっています。対前月比では相談件数は1件増で、相談項目では12件の増となっています。 1人当たりの相談項目数も前月の1.59件に対して1.70件と増加傾向となっています。 11月が労働相談事情の第2番目の「山」という状況に変化がないものといえます。 2005年の1月から11月までの相談者数と相談項目数の推移は以下のとおりですが、この時点で前年の総件数(898件)とほぼ同一となっています。
【 2005年1月から11月までの相談件数・相談項目数の推移 】
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
項目 | ||||||||||||
相談者数 (人) | 61 | 70 | 85 | 92 | 90 | 91 | 79 | 74 | 77 | 87 | 88 | 894 |
相談項目数 (件) | 98 | 123 | 130 | 136 | 165 | 156 | 139 | 115 | 127 | 138 | 150 | 1477 |
1人当たり件数 | 1.60 | 1.75 | 1.52 | 1.47 | 1.83 | 1.71 | 1.75 | 1.55 | 1.65 | 1.59 | 1.70 | 1.65 |
(2)雇用形態別等相談者数について
参照資料−2「2005年11月相談者数 (男女雇用形態別・業種別) その他処理件数」
相談者数88人の内訳は、社員40人・期限付雇用者48人となっています。
社員比率は45.4%と前月(48.6 %)を下回るとはいえ、依然高止まり状態にあるといえます。
男女比率については前月より12.8ポイント縮まっております。
期限付雇用者の内訳は、パートタイマー18人、契約社員6人、臨時5人、嘱託3人、派遣2人、不明14人となっています。 男女比では男性14人、女性34人の比率となっております。女性34人の中、18人がパートタイマーとなっています。
各雇用形態別の相談者分布は下表の通りです。季節労働者を除き各分野から相談が寄せられておりますが、季節労働者については、 8月に続き11月を全道各自治体への要請強化月間としていることから、要請団担当者へ相談が集中し「0件」となったものです。
【雇用形態別・男女別相談者数】】
雇用形態 | 相談者数 | 男性(占有率) | 女性(占有率) |
---|---|---|---|
社 員 | 40人 | 26人(29.5) | 14人(15.9) |
契 約 | 6人 | 2人(2.3) | 4人(4.5) |
パートタイマー | 18人 | 0人(0.0) | 18人(20.5) |
臨 時 | 5人 | 3人(3.4) | 2人(2.3) |
嘱 託 | 3人 | 1人(1.1) | 2人(2.3) |
季 節 | 0人 | 0人(0.0) | 0人(0.0) |
派 遣 | 2人 | 2人(2.3) | 0人(0.0) |
不 明 | 14人 | 6人(6.8) | 8人(9.1) |
合 計 | 88人 | 40人(45.5) | 48人(54.5) |
(3)相談項目別及び雇用形態別 相談数について
参照資料−3「2005年11月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別)」
相談項目数150件の内訳では、「賃金項目(支払関係に集中)」24件、「就業規則・雇用契約」22件、「解雇・雇い止め・退職」が20件、となっております。 以下、順に「経営問題・労務管理」11件、「差別・嫌がらせ・セクハラ」10件、「労災職業病」9件、「労働保険」9件、「有給休暇」8件、「勤務」項目総数7件、「職業紹介・求人」4件等となっています。
雇用形態別では、社員77件、パートタイマー29件、臨時12件、契約11件、嘱託4件、派遣4件及び不明17件となっています。 男女別では男性69件、女性81件となっています。
1人当たり相談件数は男性1.72に対して女性が1.68となり、男女の差が逆転しております。 社員の場合は1人当たり相談件数が男性1.84に対して女性1.92と女性が高くなっております。
相談項目の分布を雇用形態別に検証すると、社員は「賃金項目(支払関係に集中)」と「解雇・雇い止め・退職」、「経営問題・労務管理」に多く集中し、 パートタイマーは「就業規則・雇用契約」を最高位とするものの、労働条件関係に幅広く分布しています。
相談内容から考察した場合、「就業規則・雇用契約」「解雇・雇い止め・退職」、「経営問題・労務管理」「差別・嫌がらせ・セクハラ」は各雇用形態に広く分布しています。
(4)業種別 相談数について
参照資料−4「2005年11月 労働相談(業種別別・相談内容別)」
相談項目数150件を業種別分布で見た場合、分類不能(33件)を除き「卸・小売業・飲食店」(45件)、「医療・福祉・医薬品業」(26件)「その他サービス業」(9件)、「陸運・倉庫業」(8件)「製造業」(7件)の順位となっています。
「卸・小売業・飲食店」「医療・福祉・医薬品業」の相談内容は、ほぼ全般にわたっており経済情勢(売り上げ不振・原油高等のコスト増)や法制度変更(介護保険制度)の影響が大きいと思われます。
2.雇用情勢について
社員比率で依然として男性に高止まりの傾向がありますが、女性正社員の1人当たり相談件数が男性を上回る状況にあり、正社員の場合、男女共に相当厳しい状況にあるものと伺われます。また、相談内容から考察すると「賃金項目(支払関係に集中)」と「解雇・雇い止め・退職」に多く分布していることから、賃金未払い又は切り下げに伴う退職・解雇を中心とした問題が生じているといえます。
全体的な考察として1人当たり相談件数では、男性が女性の件数を上回る状況にあり、あらゆる雇用形態で男性が厳しい査定・評価の対象に晒されていると思われ、正社員代替の悪運用によるものと思われます。 また、パートタイマーの相談が労働条件を中心に多く分布する状況からも正社員代替の悪運用の状況が伺われます。
雇用形態を問わず、男女を問わず不公正な労働条件や雇用契約の下でも、更に低下する労働条件を提示され、雇用不安に晒される状況が伺われます。
これらの原因を相談内容から考察した場合、事業主の経営姿勢や資質をただす必要があるものも多く労働者教育と併せ経営者・事業主教育の必要性を強く感じます。 件数の増減などには現れませんが、個人病院に勤務する労働者からの相談には「解雇」「労働条件切り下げ」を内容とした、相当悪質な内容が複数寄せられています。 実状を鑑みれば早急な教育是正の必要性を強く感じます。
【 参考添付資料 】
資料−2 2005年11月 相談者数 (男女雇用形態別・業種別) その他処理件数