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連合・さっぽろ労働相談センター 札幌圏雇用センサス 第15号

2006年3月8日

2006年2月 労働相談の状況について

全業種・全雇用形態に広がる不利益変更
解雇・雇い止め、賃金不払、就業規則・雇用契約の変更セクハラ・差別・嫌がらせ、
労災等の相談の大半は違法状態

1. 労働相談の概況について

(1) 相談件数について  参照資料−1 「2006年2月 月別労働相談処理状況」

相談者数は99人、相談項目数は175件となりました。2002年からの2月単月の数値を比較した場合、本年は飛び抜けて高い数値となっています。 また、対前月比を比較した場合でも、増加件数は37件の増という飛び抜けた数値となっています。 1人当たりの相談件数の比較に於いても2002年に次ぐ数値にあり件数の著しい増加と併せて考察した場合に、 労働現場の厳しさは例年以上であり、格差拡大の具体的事象が現れていると判断できます。

【 5年間の2月単月の件数比較 】

2002年2003年2004年 2005年2006年
項目
件数(人) 4769787090
対前月比 +12+12+18+9+37
相談項目数 86110125123175
1人当たり件数 1.821.591.601.751.76

(2) 雇用形態別等相談者数について

参照資料−2「06年2月 相談者数(雇用形態・男女別、業種別)、処理内容」

相談者数99人の内訳は、社員54人・期限付雇用契約者45人となっています。 男女比で男女ほぼ同数値となっています。 正社員占有率が54.5%を記録し、昨年末から続いている正社員の相談増加傾向は、より一層顕著となっています。 正社員内の男女比率を考察すると女性比率が40.7%に上昇しております。 昨年の相談者の正社員比率構成を検証すると全相談者に占める正社員比率が高い場合は、 男性正社員の比率が高い傾向にあり正社員比率が低い場合は女性正社員の比率が高めに推移する傾向にありました。

今回の、正社員比率が高く女性正社員比率も高く推移するという傾向は職場又は事業体の存続そのものの相談である場合が想定されます。

パートタイマーの相談者は22名となっており、比率は全体の22.2%・期限付雇用契約者の48.8%となっています。 期限付雇用契約者の構成では男性の増加が顕著になっています。特に契約社員では相談者10名中7名が男性となっています。 期限付雇用契約者全体では17名が男性となっており、派遣の相談者2名が全て男性であることと併せて考えると、正社員雇用の場がより一層縮小していると判断できます。

【 雇用形態別・男女別相談者数 】

雇用形態相談者数男性(占有率)女性(占有率)
社    員54人32人(32.3)22人(22.2)
契    約10人7人(7.1)3人(3.0)
パートタイマー22人3人(3.0)19人(19.2)
臨    時2人1人(1.0)1人(1.0)
嘱    託0人0人(0.0)0人(0.0)
季    節1人0人(0.0)1人(1.0)
派    遣2人2人(2.0)0人(0.0)
不    明8人4人(4.0)4人(4.0)
合    計99人49人(49.5)50人(50.5)

(3) 相談項目別及び雇用形態別 相談数について

参照資料−3「2006年2月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別)」

参照資料−4「2006年 月別相談内容別違法件数 集計」

相談項目数175件の内訳を雇用形態別に検証すると、正社員では、ほぼ全ての分野から相談が発生しています。 また、パートタイマーから寄せられる相談項目の分布もほぼ、正社員と同じ状況にあります。

正社員とパートタイマーの業務内容・責任分担に差が生じなくなっている状況が伺われます。 相談内容からも、パートタイマーに対する経営労務管理の責任の増加や正社員並みのノルマ未消化を理由とする解雇などが寄せられています。 雇用期間がやや長めに設定されている「契約」雇用の分野では、労災職業病や休業補償などを求める相談もあることから、雇用形態を問わず、契約内容を上回る責任が労働者に課せられている状況が伺われます。

項目別の検証では、賃金に関する相談が32件、解雇・雇い止め・退職に関するもの26件、就業規則・雇用契約に関するもの19件、 以下、経営問題・労務管理16件、労働保険14件、長時間労働など勤務に関するものが11件、差別・嫌がらせ・セクハラ11件の順になっています。

このうち、違法性件数の比率を検証すると、賃金に関する相談に26件、長時間労働など勤務に関するものに7件、経営問題・労務管理に5件、差別・嫌がらせ・セクハラに5件の配分となっています。

長時間労働と賃金不払に関する内容の相談は大半が違法性のあるのであり、昨今の労働基準監督署への申請件数増加の報道を裏付けるものとなっています。

経営管理問題や職場の差別嫌がらせについて違法性が高いという状況は、職場の荒廃と労務管理の粗末加減を表すものといえます。 経営の奮起を期待すると共に、労働者からのチェックと指摘が可能となる環境を構築する必要性を感じます。

(4) 業種別 相談数について  参照資料−5「2006年2月 労働相談(業種別別・相談内容別)」

相談項目数175件を業種別分布で見た場合、分類不能を(24件)とし、「医療・福祉・医薬品」(28件)、 「卸・小売業・飲食店」(25件)、「建設・設計・重機業」&「その他サービス業」(19件)、「陸運・倉庫業」(18件)、 「ビル管理業」(13件)、「製造業」(9件)の順位となっています。

業種全体に相談が広がる傾向にあります。 「医療・福祉・医薬品業」の相談数が高いのは、福祉分野からの相談数の伸びが要因として挙げられます。 介護保険制度の改定や障害者自立支援法の施行に伴う労働条件の不利益変更が生じているためです。 2000年の介護保険制度導入時とほぼ同じ状況であり、監督行政・自治体の毅然とした姿勢が求められます。

2. 2月の雇用情勢について

正社員比率の高まりと女性比率の高まりが顕著となっていること、相談項目の分布が正社員と期限付雇用契約者に同じ傾向が見られること、 加えて、賃金、長時間労働などの勤務そして経営問題・労務管理・嫌がらせ・セクハラに関する相談に違法性件数の比率が高い状況からを検証すると、 正社員として働く場が特定の労働者に限られる状況になりつつある事が伺われます。 即ち、耐えて生き抜いた者だけが、正社員の座を手中にするといった殺伐とした中で働くという状態が増えているといえます。

そして、再度雇用の場にチャレンジしようとしても、期限付雇用契約かつ短期契約の場に限られ、 その中で正社員と同様・同等のハードルを突破した者が、正社員の座を得ることができる、その様な劇場型・ゲーム感覚型の労働環境が増えつつあると思えます。 果たして、このような働き方が地域を支え、生活の場を地域に固定させることに結びつくものがとうか真剣に考える時であると痛感します。 自治体・事業者のみならず働く者も真剣に考えるべきと考えます。

【 参考添付資料 】

資料−1 2006年2月 月別労働相談処理状況

資料−2 2006年2月 相談者数(雇用形態・男女別、業種別)、処理内容

資料−3 2006年2月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別)

資料−4 2006年 月別相談内容別違法件数 集計

資料−5 2006年2月 労働相談(業種別別・相談内容別)