2006年3月 労働相談の状況について
「法の制改訂には程遠い職場の実態」
1. 労働相談の概況
(1) 相談者数・件数について
3月は相談者数100人、相談件数142件、相談者1人あたりの平均相談項目1.42件で、前年同月との比較では、相談者数15人増、相談件数12件増となりました。 飛び抜けて高い数値となった前月に続いて、相談数は高止まりの状況です。
(2) 相談者の男女比率について
相談者の男女比率では、女性59人・男性41人と女性が多く、昨年1年間の平均値54.6%を超える高い比率で、女性からの相談がありました。
(3) 雇用形態別等相談者数について
相談者100人の雇用形態を見ると、社員が43人、社員以外の期限付き雇用契約者41人、不明その他16人で、社員と期限付き雇用契約者の相談数が拮抗しています。
男性では、総数41人のうち56%の23人が社員、契約7人、パート2人、臨時・アルバイト2人となっています。
女性では、相談者総数59人のうち21人(35.6%)がパート、20人(33.9%)が社員で、パート・社員が拮抗しています。 しかし、契約社員6人、臨時・アルバイト2人、派遣2人、嘱託1人となっており、女性が様々な雇用の名称で非正規雇用として働く様を、この数字からも読み取ることができます。
(4) 相談の内容について
「解雇・雇い止め・退職」の相談が20人(27件)と一番多く、次いで、「就業規則・雇用契約」16人(24件)となりました。 この2つの項目は、労働者にとっては雇用継続に関わる最も重要な内容と言えますが、2つを合わせると全体の35.9%を締め、相談が集中した結果となりました。 業種別では、卸・小売・飲食業、ビル管理業などの業種、雇用形態・男女別では、社員女性から2項目合わせて17件、社員男性でも合わせて8件の相談がありました。
(1)「解雇・雇い止め・退職」への相談集中度
【 業種別相談数 】
業 種 | ビル管理業 | 建設・設計・ 重機業 |
医療・福祉・ 医薬品業 |
卸・小売・飲食店 | 製造、陸運・倉庫、 その他サービス |
---|---|---|---|---|---|
相談件数(総数27件) | 5 | 4 | 4 | 3 | 各2 |
【 男女・雇用形態別 】
雇用形態(総数27件) | 社員(14) | 契約(6) | 臨時(3) | パート(1) | 不明・分類不能(3) |
---|---|---|---|---|---|
男女別件数(男:女) | 2:12 | 2:4 | 2:1 | 0:1 | 2:1 |
(2)「就業規則・雇用契約」への相談集中度
【 業種別相談数 】
業 種 | 卸・小売・飲食店 | その他サービス業 | 医療・福祉・ 医薬品業 |
ビル管理業 | 労働者 派遣業 |
---|---|---|---|---|---|
相談件数(総数24件) | 5 | 4 | 3 | 3 | 3 |
【 男女・雇用形態別 】
雇用形態(総数24件) | 社員(11) | パート(6) | 契約(3) | 臨時(2) | 派遣(1) | 不明他(1) |
---|---|---|---|---|---|---|
男女別件数(男:女) | 6:5 | 1:5 | 2:1 | 1:1 | 0:1 | 0:1 |
1.3月の雇用情勢
3月は時期的に、期限付き雇用契約者の雇い止めに関する相談が集中すると考えられましたが、予想に反して女性社員からの解雇等に関する相談が集中した結果となりました。 期限付き雇用契約者(非正規雇用)の大半を女性労働者が締める中で、さらに不安定な期限付き雇用への切り替えが進んでいることがうかがえます。
男女雇用機会均等法、次世代育成支援法など女性労働者の権利を保障する法律をはじめ、高齢者雇用安定法、障害者自立支援法など法の制改訂は次々と進んでいます。 しかし、職場の実態はそれに適応できるまでに整っておらず、経営者は当然のこと、労働者側も含めた意識改革が急務ではないでしょうか。
【 参考添付資料 】
資料−1 2006年3月 相談者数(雇用形態・男女別、業種別)、処理内容 【PDF】
資料−2 2006年3月 労働相談(雇用形態別・相談内容別) 【PDF】
資料−3 2006年3月 労働相談(業種別・相談内容別) 【PDF】
添付資料(PDFファイル)をダウンロードしてご覧いただけます。