2006年5月 労働相談の状況について
「職場環境の不公正に疲弊する労働者と長時間化する労働相談」
1. 労働相談の概況について
(1)相談件数について 参照資料−1 「2006年5月 月別労働相談処理状況」
相談者数は75人、相談項目数は132件となりました。対昨年比では−15人・−33件となりました。 一人当たりの件数でも1.76件となり昨年を0.07ポイント下回っています。
対前月比では−37人・−78件、一人当たり件数でも−0.11ポイントとなっています。
【 相談件数・項目数の比較 】
項目 | 件数(人) | 相談項目数 | 一人当たり相談項目件数 |
---|---|---|---|
年 | |||
2006年5月 | 75人 | 132件 | 1.76件 |
2005年5月 | 90人 | 165件 | 1.83件 |
2006年4月 | 112人 | 2.10件 | 1.87件 |
(2) 雇用形態別等相談者数について
参照資料−2「2006年 雇用形態別 相談者数 月別集計」&「2006年雇用形態別 相談件数 月別集計」
相談者数75人の内訳は、社員34人、期限付雇用契約者(契約・パートタイマー・臨時・嘱託・季節・派遣)34人、不明7人となっていますが、 社員34人・パートタイマー25人と2形態に集中しています。男女比では全数で男性32人・女性43人と女性が多くなっていますが、 社員では男性24人・女性10人と男性が多く、パートタイマーでは男性1人・女性24人と女性が大半をしめています。 傾向が正社員は男性、パートタイマーは女性という過去の典型に戻っています。
【 2006年5月 雇用形態別 相談者数 相談件数 】
雇用形態 | 相談者数 | 男性(占有率) | 女性(占有率) |
---|---|---|---|
社 員 | 34人 | 24人(32.0) | 10人(13.3) |
契 約 | 1人 | 0人(0.0) | 1人(1.3) |
パートタイマー | 25人 | 1人(1.3) | 24人(32.0) |
臨 時 | 2人 | 1人(1.3) | 1人(1.3) |
嘱 託 | 2人 | 2人(2.6) | 0人(0.0) |
季 節 | 1人 | 0人(0.0) | 1人(1.3) |
派 遣 | 3人 | 2人(2.6) | 1人(1.3) |
不 明 | 7人 | 2人(2.6) | 5人(6.6) |
合 計 | 75人 | 32人(42.6) | 43人(57.3) |
(3) 業種別の相談状況について
参照資料−3「2006年 業種別 相談者数 月別集計」&「2006年 業種別 相談件数 月別集計」
業種別相談状況では、「その他サービス業」15人(相談項目数28件)、「卸・小売業・飲食店」12人(同20件)、 医療福祉・医薬品業9人(同13件)の順になっていますが、「建設・設計・重機」「陸運・倉庫業」「ビル管理業」では相談者数は少ないもののコンスタントに相談が発生する状況にあります。
一人当たりの相談件数から考察すると、「労働者派遣業」が3.5件と最も多く、以下、「農林漁業・協同組合」3.0件、 「通信・報道・IT業」2.6件、「陸運・倉庫業」2.6件の順になります。
(4) 相談内容について
参照資料−4「2006年 主相談項目別 相談者数 月別集計」
参照資料−5「2006年 主相談項目別 相談件数 月別集計」
参照資料−6「2006年5月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別)」
相談者別では、「解雇・雇い止め・退職」に関係する相談者が17人と最も多く、順に「賃金」15人、 「経営問題・労務管理」13人「就業規則」12人となっています。相談件数でも、ほぼ同じで「賃金」関係する相談項目が23件と最も多く、 順に「解雇・雇い止め・退職」22件、「経営問題・労務管理」22件「就業規則」21件となっています。 「有給休暇」、「雇用保険・労災保険」及び「差別・嫌がらせ・セクハラ」は相談者数・件数共にコンスタントに相談が寄せられており、 累計では深刻度の高い課題となっています。 雇用形態別では、社員・パートタイマー共に、「解雇・雇い止め・退職」、「経営問題・労務管理」、「賃金」が、ほぼ大半を占める状況となっています。
2. 5月の雇用情勢について
参照資料−7「2006年 月別相談内容別違法件数 集計」
相談件数が対前年・対前月と比して大幅に減少したとはいえ、資料−7にあるとおり違法件数の比率が47.0%と昨年度・今年度の中で一番高く、 また昨年度平均の40.2%を大きく上回っていることから、相談内容の質的悪化が著しく、 応対状況から鑑みても相談者の疲弊振りもまた顕著となっています。
一人当たりの相談件数と併せて考察した場合(「労働者派遣業」の3.5件、「農林漁業・協同組合」3.0件、 「通信・報道・IT業」と「陸運・倉庫業」各2.6件の順)一人あたりの相談時間もまた長く要する傾向にあり、 相談者の職場環境に存在する課題問題点を把握するために多くの時間を要しています。相談件数の減少の要因であり、 決して件数減が雇用・職場環境の改善に結びついていないことが明言できます。
また、相談者の内訳が社員とパートタイマーに二分され、相談内容・項目についてもほぼ同傾向にあり、 更に、パートタイマーに対する経営問題・労務管理に関する相談が存在することから、 労働条件に大きな差がない「名前だけ正社員」の正社員又は「仕事・責任だけ正社員」パートタイマーが増えている状況が明らかです。
企業業績の改善傾向にある産業も含めて同様の傾向であり、人材に対する企業業績の公正な配分が担保されず、 強い総額人件費抑制指向が伺われます。
企業業績の公正な配分と仕事・職責に応じた適正な処遇の確保はあらゆる指数改善の根底にあるものであり北海道・札幌市内景気回復・改善の為に、早期対処が求められます。
【 参考添付資料 】
資料−1 2006年5月 月別労働相談処理状況 【PDF】
資料−2 2006年 雇用形態別相談者数月別集計 & 2006年 雇用形態別相談件数月別集計 【PDF】
資料−3 2006年 業種別相談者数月別集計 & 2006年 業種別相談件数月別集計 【PDF】
資料−4 2006年 主相談項目別相談者数月別集計
資料−5 2006年 主相談項目別相談件数月別集計
資料−6 2006年5月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別)
資料−7 2006年 月別相談内容別違法件数集計
添付資料(PDFファイル)をダウンロードしてご覧いただけます。