2006年7月 労働相談の状況について
「職場トラブルの解決は労働者の人生構築の 礎」
1. 労働相談の概況について
(1)相談件数について 参照資料−1 「2006年7月 月別労働相談処理状況」
相談者数は55人、相談項目数は99件となりました。対昨年比では-24人・-40件となりました。 一人当たりの件数では1.80件となり昨年を0.04ポイント上回っています。
対前月比でも相談者数・相談項目数がそれぞれ-67人・-84件と大きく減じているのに対し、 一人当たり件数では0.24ポイント上回っています。
【 相談件数・項目数の比較 】
年 | 件数(人) | 相談項目数 | 一人当たり相談項目件数 |
---|---|---|---|
項目 | |||
2006年7月 | 55人 | 99件 | 1.80件 |
2006年6月 | 117人 | 183件 | 1.56件 |
2005年7月 | 79人 | 139件 | 1.76件 |
(2)雇用形態別等相談者数について
参照資料−2「06年7月 相談者数(雇用形態・男女別、業種別)」
参照資料−3「2006年7月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別」
談者数55人の内訳は、社員33人、期限付雇用契約者(契約・パートタイマー・臨時・嘱託・季節・派遣)18人、 不明4人となっています。社員の占有率が前月と比して13ポイント増えています。
男女比では全数で男31人・女性24人と男性が多くなっています。
雇用形態別の占有率を前月と比較した場合、社員の占有率が前月を、 内訳も含めて約10ポイント上回る内容となっています。男女共に社員からの相談が増えています。
【 2006年5月 雇用形態別 相談者数 相談件数 】
雇用形態 | 相談者数 | 男性(占有率%) | 女性(占有率%) |
---|---|---|---|
社 員 | 33人 | 23人(41.8) | 10人(18.2) |
契 約 | 5人 | 3人(5.5) | 2人(3.6) |
パートタイマー | 9人 | 1人(1.8) | 8人(14.5) |
臨 時 | 2人 | 2人(3.6) | 0人(0.0) |
嘱 託 | 0人 | 0人(0.0) | 0人(0.0) |
季 節 | 0人 | 0人(0.0) | 0人(0.0) |
派 遣 | 2人 | 1人(1.8) | 1人(1.8) |
不 明 | 4人 | 1人(1.8) | 3人(5.5) |
合 計 | 55人 | 31人(56.4) | 24人(43.6) |
相談内容では、社員の分野で66件の相談項目数となっていますが、 「賃金」「契約(就業規則・雇用契約)」「勤務」「解雇・雇い止め・退職」の項目に相談が集中しています。
また、その後に続く項目をピックアップしても、 「合理化・倒産・企業閉鎖」「退職金」「経営問題・労務管理」と並ぶことから、 相談内容が須く退職に関するものであることがわかります。
(3)業種別の相談状況について
参照資料−4「2006年 業種別 相談者数 月別集計」「2006年 業種別 相談件数 月別集計」
業種別相談状況では、「その他サービス業」8人(相談件数21件)、「医療福祉・医薬品業」8人(同16件)、 「陸運・倉庫業」7人(同14件)「卸・小売業・飲食店」6人(同10件)、「建設・設計・重機」3人(同5件)の順になっています。
上位に並ぶ業種はほぼ固定化される状況にありますが相談者1人が抱える相談件数が上位業種で増える傾向にあります。
(4)相談内容について
参照資料−5「2006年 主相談項目別相談者数 月別集計」
参照資料−6「2006年 主相談項目別相談件数 月別集計」
相談者別では、「解雇・雇い止め・退職」に関係する相談者が14人と最も多く、 順に「契約(就業規則・雇用契約)」10人、「賃金」9人、「経営問題・労務管理」5人となっています。
相談件数では、「契約(就業規則・雇用契約)」21件と最も多く、順に「解雇・雇い止め・退職」18件、 「賃金」18件、「経営問題・労務管理」11件となっています。 「勤務」、「有給休暇」、「雇用保険・労災保険」、 「健康保険・年金問題」及び「差別・嫌がらせ・セクハラ」は相談者数・件数共にコンスタントに相談が寄せられており、 累計では依然として深刻度の高い課題となっています。
2. 7月の雇用情勢について
参照資料−7「2006年 月別相談内容別違法件数 集計」
相談件数が対前年・対前月と比して大幅に減少したとはいえ、 資料−7にあるとおり違法件数の比率が49.5%と昨年度・今年度の中で一番高く、 今年度平均の40.4%を大きく上回っています。 また、1人当たりの相談件数も、1.80件と高い数値となっていることから、相談内容の質的悪化が著しく、 職場や雇用契約を含む就労環境の混乱・劣悪化が顕著となっています。
相談者の雇用形態を検証すると、「社員」からの相談が圧倒的に多く、 相談内容も退職等の本人の職場喪失に関連する事項が多く挙げられています。
パートタイマー、契約社員の相談項目に「契約(就業規則・雇用契約」と「解雇・雇い止め・退職」「経営問題・労務管理」が多く挙げられることから、 企業のコスト抑制の策として雇用形態の転換が積極的に図られていると考えられます。 そして、社員の代替として長時間労働のパートタイマー等の期限付雇用契約者が、社員責務などを担わされ、 成果が見られない場合は雇用契約の解約がなされるという構図が固定化されつつあります。
相談者がイメージするこれらへの対抗手段は行政権限へ依存する傾向が強く表れており、 当該行政へのアプローチについても他者へ依存する傾向があり、 自力で解決するという気力にやや欠けている状況が多く見られます。 職場のトラブルについての無力感が当該労働者の生き方にまで影響する深刻な状況にあるといえます。
【 参考添付資料 】
資料−1 2006年7月 月別労働相談処理状況 【PDF】
資料−2 2006年7月 相談者数(雇用形態・男女別、業種別) 【PDF】
資料−3 2006年7月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別」 【PDF】
資料−4 2006年 業種別 相談者数 月別集計 2006年 業種別 相談件数 月別集計 【PDF】
資料−5 2006年 主相談項目別相談者数 月別集計 【PDF】
資料−6 2006年 主相談項目別相談件数 月別集 【PDF】
資料−7 2006年 月別相談内容別違法件数 集計 【PDF】
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