さっぽろ労働相談センター

札幌圏雇用センサス 第7号札幌圏雇用センサス 第5号

連合・さっぽろ労働相談センター 札幌圏雇用センサス 第6号

2005年6月7日

2005年5月 労働相談の状況について

2005年5月 労働相談の状況について業種と性別を問わず 進む 労働者の差別化傾向

1.概況

(1) 相談件数について

5月の相談者数は90人、相談項目数は165件で、前年同月に比べて相読者数で19人増、相談項目数で61件増となりました。

5月は大型連休で開設日数が少ないため、通常は労働契約更新などで相談数が増える3月、4 月に比べて相読者数、相談項目数とも2割以上減少しますが、今年は相読者数が4月(92人)な みで推移し、相談項目では2割以上の増となりました。表1に見るように、各年同月と比べても 今年は突出しています。

表1 02〜05年5月度 相談者数・相談項目数比較  ( )は年間
 2002年2003年2004年2005年
相談者数(人)65(764)74(951)71(898)90(5月迄398)
相談項目数(件)112(1249)125(1915)104(1430)165(5月迄652)

(2) 雇用形態別等相談者数について

相談者90人の雇用形態別内訳は社員31人(34.4%)、大部分が期限付雇用者と見られる 非社員(雇用形態不明他17人を含む)が59人(65.6%)で、前月 に比べ前者が6人減、後者か4人増となり、構成比は約6ポイント拡大しま した。後者の内訳はパート24人(26.6%)、契約および派遣がいず れも7人(7.8%)、臨時(アルバイト含む)3人(3.3%)、嘱託1 人(1.1%)となっています。

相読者の男女別では、女性が男性の2倍以上あった前月に比べてその 差が4.4ポイントまで縮まりました。社員とパートで女性相読者かそれぞれ 8人滅少したことが影響しています。これにより社員では男性相読者が女性の約2倍となり、女 性相読者が圧倒的に多いパートでは、男性との比率か前月の9倍から5倍に縮まりました。

表2 雇用形態別・男女別 相談者数
雇用形態雇用形態別・男女別 内訳
相談者数男性(占有率)女性(占有率)
社員3121(23.3%)10(11.1%)
契約75(5.6%)2(2.2%)
パート244(4.4%)20(22.2%)
臨時31(1.1%)2(2.2%)
嘱託11(1.1%)0(0%)
季節00(0%)0(0%)
派遣72(2.2%)5(5.6%)
不明179(10.0%)8(8.9%)
合計9043(47.8%)47(52.2%)

(3) 相談項目別・雇用形態別相談数について

相談項目数165件(表3)のうち、「経営問題・労務管理」が25件(対前月7件増)で最 も多く、「解雇・雇止め・退職」24件(同3件増)、「賃金」項目合計23件(同2件増)を 上回りました。以下「就業規則・労働契約」14件(同2件減)、「勤務」項目合計12件(同2件増)、 「労働保険(雇用・労災)」12件(同10件増)、「差別・嫌がらせ・セクハラ」 10件(同5件増)などの順で、賃金では「月例賃金」と「残業手当」の「未払」が併せて18 件(同1件増)となっています。また、前月12件あった「有給休暇」は7件に減少しました。

「経営問題・労務管理」の相談の殆どは労務管理に関わるもので、相談内容の底流で使用者側 の出鱈目な労働および労働者管理が行われている場合、あるいは違法・脱法が噫場で常態とされ ている場合等がこれに該当します。

相談項目数は「社員」59件(35.8%)と「パート」42件(25.4%)で全体の6割以上 を占め、次いで「契約」17件(10.3%)、「派遣」14件(8.5%)、「臨時」6件(3.6 %)、「嘱託」1件(0.6%)で、経営者や雇用関係にない者を含む「不明他」も26件(15. 7%)ありました。男女別では男性76件(46.1%)、女性89件(53.9%)で、相談者の 男女比率(4.4ポイント)よりも項目数では女性の割合が3.4ポイント多いことを示しています。

表3 相談内容別・雇用形態別 相談件数
雇 用 形 態 社 員 契 約 パート 臨 時 嘱 託 季 節 派 遣 不明他 合 計
相 談 内 容 MF MF MF MF MF MF MF MF MF
賃 金 賃上げ・賃下げ 11                      112
最低賃金       11                112
月例賃金未払・遅配 31    11           1 1  538
給 与 控 除     1                    11
残業手当 未 払 7   1  1             1  8210
賃 金 小 計 112 02 23 00 00 00 01 20 15823
就業規則・労働契約 41 11  2  1        1 12 6814
派遣・人夫貸し                    3    033
勤 務 長 時 間 労 働 3  11  1                426
休 憩・休 日 21 11  1                336
勤 務 小 計 51 22 02 00 00 00 00 00 7512
有 給 休 暇  1    13  1          1  257
解雇・雇止め・退職 44 3   7          13 2  101424
合理化・倒産・企業閉鎖       1                 101
休業補償    1   1                112
退職金 31                   2  516
労働保険(雇用・労災) 1     24    1        22 6612
社会保険(健保・年金) 11     1          1     224
労災・職業病・安全衛生 3      2                325
男女差別・女性保護        1  1             022
差別・嫌がらせ・セクハラ 32  1  2  1        1    3710
経営問題・労務管理 82 22  6  1        2  2 101525
組合加入・結成・上部加盟                    1    011
職業紹介・求人                       2 022
そ の 他  1     2 1           44 5712
合      計 4316 98 636 15 10 00 212 1412 7689165

(注:相談数0の項目- 「一時金・諸手当」「配転・出向・転籍」「労働時間延長・短縮」「定年延長・再雇用」「税金問題」 「地区ユニオン」 -は削除)

(4) 相談項目別・業種別相談数について

相談項目数165件の業種別分布は表4に見るとおり、I「その他サービス業」37件(22. 4%)、FF卸・小売業・飲食店」21件(12.7%)、I「労働者派遣業」 18件(10.9%) で、I「分類不能・その他」は26件(H.8%)を含めて全体の約62%を占めています。 主な相談項目の業種別分布は以下のとおりです。(以下、業種は表4に示す番号で記す)

・相談件数の最も多い「経営問題・労務管理」(25件)はIの業種に7件、Fの業種およびJ の業種に各3件、他8業種に1〜2件分布。

・「解雇・雇止め・退職j(24件)はIの業種に66件、Bの業種に5件、Iの業種に4件、他 6業種に1〜2件分布。Fの業種で相談件数0件が特異な現象。

・「賃金」項目(計23件)はIの業種に7件、Fの業種に6件、他6業種に3件または1件。 うち「月例賃金の未払・遅配」「残業手当未払」(計18件)はFの業種に6件、Iの業種に 5件、IおよびAの業種に各3件が分布。

・「就業規則・労働契約」(14件)はIの業種に6件のほか6業種に1〜2件分有

・「勤務」項目(計12件)は半数がIの職種に集中し、I「公務・公共サービス業」に3件、 他2業種に1〜2件分布。

・「差別・嫌がらせ・セクハラ」(10件)は広く9業種に1〜2件が分布。

表4 業種別 相談件数
  @ A B C D E F G H I J K L M
業 種 別 食 品 加 工 業 建設・設計・重機業 製 造 業 通信・報道・IT業 バス・タクシー業 陸運・倉庫業 卸・小売業・飲食店 金融・保険・不動産業 医療福祉・医療品業 ビ ル 管 理 業 労働者派遣業 その他サービス業 公務・公共サービス業 分 類 不 能・その他 合 計
相談内容
賃 金 賃上げ・賃下げ        1    1        2
最低賃金 1               1    2
月例賃金未払い・遅配  1       2     32    8
給 与 控 除                 1    1
残業手当 未払い  2  1    4      3    10
賃金小計 13 01 01 60 10 37 00 23
就業規則・雇用契約  1  1  1     1 26  2 14
派遣・人夫貸し                3     3
勤 務 長 時 間 労 働     1    1      3 1  6
休 憩・休 日     1           3 2  6
勤務小計 00 02 00 10 00 06 30 12
有 給 休 暇     1    1  1   1  3 7
解雇・退職・雇止め 11 52       22 46  1 24
合理化・倒産・企業閉鎖                    1 1
休業補償     1           1    2
退職金  1 1     1  1      2 6
労働保険(雇用・労災)  2 1  1  3      2  3 12
社会保険(健康・年金)          2  11 1     12
税 金 問 題          2  1  1     4
労災・職業病・安全衛生 1      1 1  2        5
男女差別・女性保護        2             2
差別・嫌がらせ・セクハラ    21  1 1   1 11 11 10
経営問題・労務管理  2 22  1 31 1  37 12 25
組合加入・結成・上部加盟                1     1
職業紹介・求人                    2 2
そ の 他    1     2         9 12
合      計 310 1211 17 211 94 1837 526 165

(注1:相談数0の項目- 「一時金・諸手当」「配転・出向・転籍」「労働時間延長・短縮」「定年延長・再雇用」「税金問題」 「地区ユニオン」 -は削除)

(注2:相談数0の業種- 「農林漁業・共同組合」「鉱業」「エネルギー・水道業」「商品斡旋・リース業」「教育・学校業」 「会計・行政・法律事務所」 -は削除)

2.雇用情勢について

(1) 概 況

相談受付の開設数が年間の中で最も少ない5月に、相読者数が前月並みを維持し、相談項目数 で2割以上増加したことは特異な現象です。これは05春季生活闘争で、パートタイマーを中心と する不安定雇用労働者を対象に、広く相談キャンペーンを行ってきた効果であるほか、「経営間 題・労務管理」項目の急増などの相談内容から見ると、労働者か消耗品として粗末に扱われる傾 向が一層強まり、問題か誉積している状況を示しています。なおこの間、今月平均3件程度あっ た「合理化、倒産、企業閉鎖」の相談者が0であったことは特異な現象です。

相読者の雇用形態別分布(表1)は、「不明他」を除く相読者の75%は「社員」および「パ ート」であり、社員では7削弱を男性が、パートでは8割強を女性が占めています。また社員と 非社員では、後者が「不明他」を除く相読者の6削弱を占め、雇用関係の不安定な非社員労働者 にとって労働相談センターは重要な機能を発揮しているといえます。

(2)相談項目の雇用形態別分布から見た状況

相談項目の雇用形態別の傾向は次のようにまとめることができます。

・@休日・休憩を含む長時間労働と残業手当の未払(無賃残業)問題、A解雇・退職問題とこ れに関連する雇用保険や退職金(社員の場合)問題は、濃淡はあるものの各雇用形態に共通す る強い傾向として見られる。

・上記Aに関連して「経営問題・労務管理」「差別・嫌がらせ・セクハラ」が各雇用形態で間 題とされ、「解雇・雇止め・退職」を含めた女性の相談は男佳に比べて5割以上多い。

・社員では「月例賃金の未払・遅配」「労災・職業病・安全問題」が他の雇用形態に比較して 多い。

・「有給休暇」「休業補償」など、法制化されている労働者の権利項目は非社員に集中してお り、「就業規則・労働契約」の相談も社員に比べて2倍に近い。

以上の傾向から、社員においては一般に雇用は安定しているものの、それゆえに長時間の無賃 労働が強要され、差別や嫌がらせがあり、やがては社外に追い出されて退職金も保障されるとは 限らないいという過酷な状況にあることが窺えます。一方、非社員の期限付雇用者の場合は、就 業規則や労働契約が不明確な中で労基法上の権利が保障されず、嫌がらせを受け、退職を迫られ たり簡単に解雇されるという、使用者の一方的な戦場支配の中で労働を余儀なくされていると言 えます。特にパートなどの女性労働者に対する支配の状況は深刻だと言わなければなりません。

(3)相談項目の業種別分布から見た状況(以下、業種は表4に示す番号で記す)

相談項目の業種別の傾向は次のとおりです。

・Iの菜種を別としてI、FおよびJの業種の相談件数か特に多く、「経営問題・労務管理」 「差別・嫌がらせ・セクハラjが共通した問題となっている。

・I、Fの業種では「解雇・雇止め・退職」およびr賃金lと「残業手当」の未払も共通 多く、「休日・休憩」「長時間労働」の相談件数の5割はIの業種が占めている。

・「解雇・雇止め・退職」はIの業種に次いでBの業種に多い。

・Fの業種では、「賃金」「残業手当」の未払および「労働保険」「社会保険」が多い。

「解雇・雇止め・退職」「経営問題・労務管理」「差別・嫌がらせ・セクハラ」は10種前 後の業種で広く問題にされている。

雇問題およびこれらの根底にある労務管理問題で、極めて深刻な状況に置かれています。同じ傾 向にあったFの業種で「解雇・雇止め・退職」の相談が0件であったことは特異な現象ですが、 その問題よりも、賃金等の未払や労働保険など、以降の生活問題に焦点が移っているものと見ら れます。状況はむしろ厳しくなっているのではないでしょうか。

また、Eの業種では、雇用関係にない派遣先の意思が雇用関係に影響を及ぼす固有の「派遣問 題」があり、派遣元(雇用側〉の「労務管理」と相まって、派遣労働者は自らの意思を超えたレ ベルで労働や雇用が左右される厳しい状況に置かれていること窺われます。

なお、「労務管理」問題では、使用者が労働者の個人情報を悪用して支配するという相談も寄 せられています。

3.参考添付資料

資料―1 2005年5月 相談者数(男女雇用形態別・業種別)、その他処理件数

資料―2 2005年5月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別)

資料―3 2005年5月 労働相談(業種別・相談内容別)

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