さっぽろ労働相談センター

札幌圏雇用センサス 第8号札幌圏雇用センサス 第6号

連合・さっぽろ労働相談センター 札幌圏雇用センサス 第7号

2005年7月16日

2005年6月 労働相談の状況について

男性社員の労働条件「底下げ」への危機

1.労働相談の概況について

相談者数91人、相談項目数は156件となりました。2002年から2005年6月における相談状況は下記のとおりです。

【2002年から2005年6月までの相談件数推移】 (※カッコ内は年間総数)
 2002年2003年2004年2005年
相談者数45人(764人)62人(951人)92人(898人)91人
相談項目数70件(1249件)91件(1519件)156件(1430件)156件

上記のとおり、相談者数、相談項目数ともに、年々増加の傾向にあります。また、2005年上半期(1〜6月)の特徴として、 昨年上半期は相談者数、相談項目数がそれぞれ499人・798件であったのに対し、今年は489人・989件となっています。相 談者数こそ減少したものの、相談項目数は100も増加しており、1人の相談の中にさまざまな問題が含まれていることが判 ります。

(1) 雇用形態別 相談者数について

男女別でみた場合、これまでは女性からの相談が多かったのですが、先月5月はその差がわずか4人まで縮まりました。と ころが、今回は男性が46人となり、1名ながらも女性を上回るなど、男女間での相談者数が逆転しました。さらに全体を 通じて、「男性・正社員」が全体の3割を超えたことが特徴としてあげられます。

雇用形態相談者数男性(占有率)女性(占有率)
社員37人28人(30.8%)9人(9.9%)
契約8人7人(7.7%)1人(1.1%)
パート22人0人(0.0%)23人(24.2%)
臨時4人2人(2.1%)2人(2.2%)
嘱託0人0人(0.0%)0人(0.0%)
季節2人1人(1.1%)1人(1.1%)
派遣4人0人(0.0%)4人(4.4%)
不明14人8人(8.8%)6人(6.6%)
合計91人46人(50.5%)45人(49.5%)

(2) 雇用形態別等 相談項目数について

相談項目数については、雇用形態が「不明」からの19件を除き、「正社員」からの76件、以下、順に「パート」34件、 「契約」15件、「臨時・アルバイト」5件、「派遣」5件、「季節」2件、とつづきます。なお、先月と比較して雇用形 態別にみた相談項目数の順位に変動はありませんでしたが、「派遣」が増加傾向にあります。

さらに上記(1)と同様、相談項目数についても「男性・社員」が63件と全体の4割を超えるなど、「男性・社員」において 件数および内容とも増加および複合化していることが判ります。

雇用形態相談項目男性(占有率)女性(占有率)
社員76件63件(40.4%)13件(8.3%)
契約15件14件(9.0%)1件(0.6%)
パート34件0件(0.0%)34件(21.8%)
臨時5件3件(1.9%)2件(1.3%)
嘱託0件0件(0.0%)0件(0.0%)
季節2件1件(0.6%)1件(0.6%)
派遣5件0件(0.0%)5件(3.2%)
不明19件11件(7.0%)8件(5.1%)
合計7676件92件(59.0%)64件(41.0%)

(3) 相談項目別および雇用形態別 相談件数について

相談項目156件のうち、月例賃金や残業手当の未払など「賃金」に関する相談が35件、以下、「経営問題・労務管理」21件、 「就業規則」17件、「解雇・雇止め・退職」15件とつづきます。

今回の主な特徴は、昨年同月期で最も多かった「解雇・雇止め・退職」(48件)が大幅に減少し、その分、「月例賃金未払」、 「就業規則・雇用契約」、「経営問題・労務管理」が増えていることがあげられます。すなわち、@相談者は、解雇それ自体 について争いはなく、むしろ解雇時における賃金の精算をより重視する傾向にあること、Aそれまで頻繁に行われていた解雇 という直接的な手法から、労働条件の不利益変更という形で従業員を退職へ追い込む手法が増加しているという実態が浮かび 上がりました。

相談内容別・雇用形態別 相談件数
雇 用 形 態 社 員 契 約 パート 臨 時 嘱 託 季 節 派 遣 その他 合 計 比率 % 最重項目
相 談 内 容 MF MF MF MF MF MF MF MF MF合計 MF
賃 金 賃上げ・賃下げ 1                     4 145 3.21  4
一時金・諸手当 1                       100 0.64 1 
最 低 賃 金                         000 0.00   
月例賃金未払・遅配 4  1   3 1     1   1 3  10414 8.97 93
給 与 控 除        2                022 1.28   
残業手当 未 払 81 3                    11112 7.69 6 
残業手当 問合せ        1                011 0.64   
賃 金 小 計 141 40 06 10 00 10 01 34 231235 22.44 167
契 約 就業規則・雇用契約 61 2   5             12 9817 10.90 55
一方的身分変更                         000 0.00   
配転・出向・転籍 1  1                    202 1.28   
派遣・人夫貸し                      1  101 0.64 1 
勤 務 長 時 間 労 働 52                      527 4.49 22
休 憩・休 日 2      2                224 2.56  1
労働時間延長・短縮 1      1                112 1.28   
勤 務 小 計 82 00 03 00 00 00 00 00 8513 8.22 23
有 給 休 暇 31 1   1                426 3.85  1
解雇・退職・雇止め 71 1   6                8715 9.62 15
合理化・倒産・企業閉鎖 1                       101 0.64   
休 業 補 償 2                       202 1.28 1 
定年制度・再雇用 1                       101 0.64   
退 職 金 3                       303 1.94 2 
労働保険(雇用・労災) 5  2   2           1 1  8311 7.05 43
社会保険(健保・年金)        3 1              134 2.56  2
税 金 問 題        2  1             033 1.92  3
労災・職業病・安全衛生  1                   1  112 1.28  1
男女差別・女性保護                         000 0.00   
差別・嫌がらせ・セクハラ 11  1  1 1         1    246 3.85 14
経営問題・労務管理 55 2   5  1        2 1  81321 13.46 58
組合加入・結成・上部加盟 3                       303 1.92 3 
地域ユニオン 1                       101 0.64 1 
職業紹介・求人                       2 022 1.28  2
そ の 他 2  1            1    3  617 4.49 41
合      計 6313 141 034 32 00 11 05 118 9264156 100.00 4645

(4) 業種別 相談件数について

相談項目156件のうち、最も多かったのが、「卸・小売業・飲食店」の30件で、以下、「その他サービス業」16件、 「陸運・倉庫業」14件とつづきます(但し、「分類不能」35件は除く)。昨年同月期の「製造業」は0件でしたが、今 年は8件へと急増しています。

業種別 相談件数
業 種 別→ 農林漁業・協同組合 食 品 加 工 業 鉱 業 建設・設計・重機業 製 造 業 エネルギー・水道業 通信・報道・IT業 バス・タクシー業 陸運・倉庫業 卸・小売業・飲食店 商品斡旋・リース業 金融保険・不動産業 医療福祉・医療品業 ビ ル 管 理 業 労働者派遣業 教 育・学 校 会計・行政・法律事務所 その他サービス業 公務・公共サービス 分 類 不 能 合 計 法律違反件数
相談内容↓
賃 金 昇給・引下げ             4            1    5 
一時金・諸手当                             1 1 
最 低 賃 金                               0 
月例賃金未払い・遅配     5        2     2 2   1  2 1412
給 与 控 除              1           1    22
残業
手当
未払い     1 2  2   3 1   2     1    1211
問い合わせ                             1 1 
賃金小計 00 06 20 20 45 10 04 20 04 04 2317
契約 就業規則・雇用契約  1  1 1  1  13 1  11 1   2  3 171
一方的身分変更                               0 
配転・出向・転籍                    1     1    2 
派遣・人夫貸し                             1 11
勤 務 長 時 間 労 働     1    2   1 1         2    77
休 憩・休 日  1       1   1              1 42
時間延長・短縮          1   1                2 
勤務小計 01 01 00 40 03 10 00 00 02 01 139
有 給 休 暇       2      1              3 65
解雇・退職・雇止め     1    1  13     3     2  4 152
合理化・倒産・企業閉鎖             1                 1 
休 業 補 償       2                       2 
定年制度・再雇用             1                 1 
退 職 金             2               1 3 
労働保険(雇用・労災)     2 1  1  13     1 1      1 112
社会保険(健康・年金)                   1         3 4 
税 金 問 題                             3 3 
労災・職業病・安全衛生     1        1                2 
男女差別・女性保護                               0 
差別・嫌がらせ・セクハラ              1    1      1  3 61
経営問題・労務管理  1       1   7  1 2  2   3  4 216
組合加入・結成・上部加盟             3                 3 
地域ユニオン              1                1 
職業紹介・求人                             2 2 
そ の 他              1  1 1  1   1  2 71
合      計 03 012 80 100 1430 32 610 70 016 035 15653

2.雇用情勢について

これまでの傾向としては「女性・パート」からの相談が最も多かったのですが、今回は「男性・正社員」からの相談が63人 (40.4%)と最も多くなりました。その内訳をみると、依然として「解雇・雇止め・退職」「残業手当」に関する相談が多い のですが、「就業規則・雇用契約」関連の相談が増加傾向にあります。

このたび、厚生労働省の研究会は労働契約法に関する「中間まとめ」を発表しました。これは、就業規則や雇用契約について 労使間で合意に至れば解雇は合法とみなすという、働く側にとって極めて危険な内容となっていますが、ここ数ヶ月にわたっ て寄せられる相談はまさにその前兆といえます。

3.参考添付資料

資料―1 2005年6月 相談者数(男女雇用形態別・業種別)、その他処理件数

資料―2 2005年6月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別)

資料―3 2005年6月 労働相談(業種別・相談内容別)

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