2005年1月17日
12月28日に帝国データバンク及び東京商工リサーチから発表された、2004年の道内企業倒産状況は以下の通りです。
2004年通算( )は対前年比% | 2004年12月( )は対前年比% | |||
---|---|---|---|---|
倒産件数 | 負債総額(百万 | 倒産件数 | 負債総額(百万) | |
帝国データバンク | 550(−17.2) | 159,506(−64.6) | 51(+8.5) | 21,373(+330) |
東京商工リサーチ | 561(−18.3) | 161.463(−64.1) | 48(+4.3) | 23,404(+360) |
年間の負債総額及び件数について、4年間連続で前年を下回り、且つ過去10年間の数値の中では最低値を記録しています。 しかし、これは、景気動向の改善によるものではなく、むしろ景気低迷の中で、 商取引そのものが減少していることが理由となっています。この市場縮小の傾向は雇用市場の縮小に直結するものであり、 私たちの現場にも多種多様なそして多くの相談が寄せられました。
この現実を鑑みれば、2004年一年間の雇用環境は大変に厳しいものであったと考えられます。
倒産する企業の原因別分類では、デフレ傾向の続く中の特徴的原因である不況型倒産(販売不振倒産) が69.7%を占めており、続いて放漫経営倒産が15.2%となっています。業種別では、建設業(38.9%)、 小売業(17.6%)、卸売業(13.6%)となっています。原因や業種別については、これまでの傾向と変化がなく、 地域別について札幌圏に集中する傾向(札幌市43.3%)となっています。件数が減じたとはいえ、 不況の影響は強く残っており、札幌圏の産業構成を直撃する形の倒産状況も変わっていません。
※参考資料:2004年12月 労働相談集計表 1.2004年12月現在 月別労働相談処理状況
年間の相談件数は898件となっています。対前年に比べ53件のマイナスとなっています。
これは、センターの稼働日数が昨年に比べ若干減じたことや、年間を通じた周知行動を減じたことに原因があります。 2月及び11月に実施した「なんでも相談」による集中相談日には各々76件、52件との前年以上の相談が寄せられており、 潜在的なニーズは依然として多いものと考えます。
※参考資料:2004年12月労働相談集計表 2.04年12月職業別・雇用形態別・男女別相談者数
898件の内訳については、男423件 女475件となっています。
雇用形態別・男女別では、下表のとおりとなっています。
雇用形態 | 人数(占有率) | 男 | 女 |
---|---|---|---|
正社員 | 442人(49.2%) | 281人 | 161人 |
パート | 190人(21.2%) | 13人 | 177人 |
契 約 | 59人(6.6%) | 29人 | 30人 |
臨 時 | 46人(4.6%) | 22人 | 24人 |
派 遣 | 20人(2.2%) | 6人 | 14人 |
正社員男性からの相談が多く、続いてパート女性、正社員女性の順となっています。
※参考資料:2004年12月労働相談集計表 5.2004年主要相談項目別相談者数 月別集計
相談項目の総数としては、1430件(対前年比−53件)となっています。
相談項目数の内訳では、解雇・雇い止め・退職と賃金の相談が群を抜いています。 また、長時間労働などを内容とする勤務時間に関する相談や有給休暇、就業規則に関する相談、 そしてこれと裏返しの関係にある経営労務管理に関する相談が、高い数値となっています。
市場縮小に伴う雇用破壊と残された従業員の過酷な労働環境や会社経営に苦しみながらも相談する場所のない 経営者の増加が原因と言えます。
相談項目 | 件数(占有率) | 傾 向 |
---|---|---|
賃金(未払い・遅配など) | 187件(20.82%) | 増 加 |
解雇・雇い止め・退職 | 211件(23.5%) | 増 加 |
勤務時間 | 44件(4.90%) | 増 加 |
有給休暇 | 41件(4.57%) | 増 加 |
就業規則 | 55件(6.12%) | 増 加 |
雇用保険・労災保険 | 48件(5.35%) | 据え置き |
経営問題・労務管理 | 57件(6.35%) | 増 加 |
健康保険・年金 | 28件(3.12% | 増 加 |
退職金 | 25件(2.78%) | 増 加 |
職場環境の厳しさについては、これらの相談件数に加え、参考資料の2004年12月労働相談集計表 7.2004年相談項目別違法件数 月別集計によってより鮮明になります。
上記表に於いて高い数値を記録している項目は、ほぼ全月に於いて相談として寄せられており、 また経営相談も同様にほぼ全月に於いて相談事案が発生しています。
2004年の札幌圏雇用状況を表す状況としては以下の通りです。
札幌圏の2004年の有効求人倍率は0.5に満たない数値で収束しそうです。 また、失業率も5%後半の高値を維持する見込みです。しかし、職場の実態はこの数値以上に厳しいものと考えます。
不況型の倒産が依然札幌圏に集中し、正社員やパートの多くが「解雇・雇い止め・退職」等のリストラの犠牲となり又、 職場を確保したとしても賃金遅配・未払いとなる事態に遭遇していること。
また、在職する雇用者についても、長時間労働を強いられ、有給の休暇もまま成らず、 雇用保険・健保・年金についても未加入状態となる雇用者が増えている。
そして、冒頭の倒産状況から札幌圏雇用状況の今後の傾向を考えれば、 12月の倒産傾向が対前年比を大きく上回っていることから、関連倒産などが続き、 一層の厳しい状況に至るのではないかといえます。