2006年10月 労働相談の状況について
「労働者の不安多発からまず相談へ 企業内の問題処理・相談機能喪失 明か」
1. 労働相談の概況について
(1)相談者数・件数について 参照資料−1 「2006年10月 月別労働相談処理状況」
相談者数は93人、相談項目数は152件となりました。対昨年比では+6人・+33件となりました。 一人当たりの件数では1.63件となり昨年を0.27ポイント上回っています。
対前月比でも相談者数・相談項目数がそれぞれ+26人・+50件と大きく増加し、 一人当たり件数でも0.11ポイント上回っています。
【相談件数・項目数の比較】
年 | 件数(人) | 相談項目数 | 一人当たり相談項目件数 |
---|---|---|---|
項目 | |||
2006年10月 | 93人 | 152件 | 1.63件 |
2006年 9月 | 67人 | 102件 | 1.52件 |
2005年10月 | 87人 | 119件 | 1.36件 |
(2)相談者の男女比率について
参照資料−2「06年10月 相談者数(雇用形態・男女別、業種別)」
参照資料−3「2006年10月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別」
相談者数93人の内訳は、社員36人、期限付雇用契約者(契約・パートタイマー・臨時・嘱託・季節・派遣)48人、不明9人となっています。 雇用形態別の比率では社員の占有率が38.8%、期限付雇用契約者が51.5%となっています。 期限付雇用契約者の内訳は契約・パートタイマー43人と、大半を占めています。
男女比では全数で男51人・女性42人と男性が多くなっています。 雇用形態別の男女比は、正社員は男性・期限付雇用契約者は女性が多いという状況にありますが、 期限付雇用契約者の内訳でパートタイマーを除いての男女比はそれほど大きな差はなくなっています。
相談件数は全体で152件(1人当たり1.63件)となっています。 雇用形態別の相談件数は、社員が60件(1人当たり1.66件)、期限付雇用契約者が79件となっています(1人当たり1.64件)。
男女別の相談件数は男性81件(1人当たり1.58件)、女性71件(1人当たり1.69件)となっています。
(3)相談内容について 参照資料−3「2006年10月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別」
相談内容では、「賃金」22件(内 「残業手当 未払」11件)、「解雇・雇い止め・退職」29件、 「経営問題・労務管理」20件、「就業規則・雇用契約」12件、「合理化・倒産・企業閉鎖」11件、 「差別・嫌がらせ・セクハラ」10件となっています。 この中で、「解雇・雇い止め・退職」「合理化・倒産・企業閉鎖」は今年の中で最も高い数値を記録しています。
「解雇・雇い止め・退職」の相談について雇用形態別に分布を検証すると、 不明を含めて殆どの雇用形態に相談が発生していますが、これは件数20件を超える相談に共通しています。
「有給休暇」、「雇用保険・労災保険」、「健康保険・年金問題」及び「労災・職業病・安全衛生」 は件数は少ないものの、コンスタントに相談が寄せられている状況です。
(4)業種別の相談状況について 参照資料−4「2006年10月 労働相談(業種別・相談内容別)
業種別相談状況では、「卸・小売業・飲食店」20人(相談件数38件)、「陸運・倉庫業」13人(同17件)、 「その他サービス業」8人(同14件)、「医療福祉・医薬品業」5人(同9件)、「建設・設計・重機」4人(同7件)、 「ビル管理業」3人(同8件)の順となっていますが、設定する業種で相談がない業種が4業種のみであり、 大半の業種から相談が寄せられている状況です。
【2006年10月 雇用形態別 相談者数 相談件数】
雇用形態 | 相談者数 | 男性(占有率%) | 女性(占有率%) |
---|---|---|---|
社 員 | 36人 | 30人(32.3) | 6人(6.5) |
契 約 | 17人 | 10人(10.8) | 7人(7.5) |
パートタイマー | 26人 | 7人(7.5) | 19人(20.4) |
臨 時 | 2人 | 1人(1.1) | 1人(1.1) |
嘱 託 | 0人 | 0人(0.0) | 0人(0.0) |
季 節 | 0人 | 0人(0.0) | 0人(0.0) |
派 遣 | 3人 | 1人(1.1) | 2人(2.2) |
不 明 | 9人 | 2人(2.2) | 7人(7.5) |
合 計 | 93人 | 51人(54.8) | 42人(45.2) |
2. 10月の雇用情勢について 参照資料−5「2006年 月別相談内容別違法件数 集計」
相談件数が93件と高い数値となった背景に、設定する業種や雇用形態の大半から相談がよせられていることが挙げられます。 また、相談の内容も、「賃金」、「解雇・雇い止め・退職」、「経営問題・労務管理」の3分類で全体の46.7%を占めているものの、 残りの相談(53.3%)は広く他の設定項目に分布していることから、まず相談をしてみるという傾向が強くなっていることも要因の一つです。
今年1月からの数値を検証した場合「有給休暇」、「雇用保険・労災保険」、 「健康保険・年金問題」及び「労災・職業病・安全衛生」等は件数が少ないものの、 コンスタントに相談が寄せられている状況で、「合理化・倒産・企業閉鎖」についても、 今月の11件を含め常に相談が寄せられる状況です。 職場の中に常に不安を抱え、年末期前に一気に外部へ相談に出たものと考えます。
ただ、法違法件数との関係から検証をした場合、47件(30.9%)と低数値で、 2006年の中で二番目に低い数値(一番は3月の25.4%)となっています。
職場内の厳しい労働環境や就業規則の変更及び安全衛生に関する事項等、 労働者が不安抱く要素が多く発生する状況が考えられます。 不安を解消するために、まず社外・部外に相談するという労働者が多く、 企業内の問題解決能力・相談機能(場所)の喪失が伺われます。
【 参考資料 】
資料−1 「2006年10月 月別労働相談処理状況」 【PDF】
資料−2 「06年10月 相談者数(雇用形態・男女別、業種別)」 【PDF】
資料−3 「2006年10月 労働相談(男女雇用形態別・相談内容別」 【PDF】
資料−4 「2006年10月 労働相談(業種別・相談内容別)」 【PDF】
資料−5 「2006年 月別相談内容別違法件数 集計」 【PDF】
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